ウィルコムでは、小さなセルサイズ、基地局設置の自由度の高さ、空間多重などの効率化技術といった現行PHSのメリットに、OFDMAやMIMOなどの新技術を追加し、全体を再設計したものが次世代PHSであると位置付ける。
現行PHSに新技術を追加し、再設計したものを次世代PHSと位置付ける |
正式な技術名称として「XGP」を採用。"neXt Generation PHS"ではなく"eXtended Global Platform"の略とされている |
上村氏は、ベースとなる技術は次世代PHSとモバイルWiMAXで共通の部分も多いが、高トラフィックが発生する都市部の過密地域では、PHSで培った自律分散方式でないと「ジャブジャブ使えるシステム」の実現は難しいのではないかと指摘する。基地局の追加が必要になった場合、前述のようにビルオーナーとの交渉がまとまらない、ビルの耐荷重をオーバーしているといった理由で、設備を設置できないことがある。そのときに基地局の位置が「多少ずれても問題ない」(上村氏)という仕組みがないと、トラフィック増に応じて柔軟に基地局を増やしていくことが困難なので、固定のブロードバンドと同じようなサービスは提供できないという考えだ。
次世代PHSは「WILLCOM CORE」のサービス名称で提供され、サービス開始当初の最大通信速度は未定だが、将来的な速度向上の見通しとして、仮に同社に免許された帯域幅30MHzをすべて使用し、さらにMIMOを導入した場合、「送受信それぞれ最大100Mbps」という数字を挙げている。
ただし、ライバルとなる他の通信規格も、ベースとなる技術にはOFDMAを使用しており「細かい工夫はさておき、大きくは違わない」(上村氏)。同じだけの周波数帯域を使えば「他の規格でも早晩同じことができるのは当然のこと」(同)とし、BWAサービスにおいて最大通信速度は他の規格に対する優位点にはなり得ないとの考え方を示す。上村氏は「最も重要なのは実効速度」と述べ、平均してどれだけの通信速度を維持できるかがサービス品質の決め手となるという点を強調した。