マイクロソフトといえばエルゴノミクスを採用したカーブ型配列のキーボードが知られている。しかし、ストレートタイプのキーボードにもユニークな製品が多い。この「Microsoft Digital Media Keyboard 3000」はUSB有線接続タイプの薄型キーボード。メディアホットキーが多い多機能タイプだ。しかし、もっともユニークな特長は「究極のメンテナンス機能」である。

「Microsoft Digital Media Keyboard 3000」は、多数のホットキーを搭載したストレートタイプだ

薄型軽量のデザイン。キースタンドはかなり長く、大きく傾く

液体を上から下へ受け流す

水をかけて試してみた

外観上はホットキーがたくさん付いたキーボード。それだけでも充分に使いやすそうで魅力的だ。しかし、最大の特徴はパッケージに控えめに記された「防滴仕様」だ。もしキーボードにコーヒーやジュースなどをこぼしても大丈夫ということらしい。これは実験せずにいられないと、さっそく水をかけてみた。たちまちキーの隙間に水が吸収されていく。防滴というと水をはじくという先入観があるので、吸い込まれてしまうとは意外な展開。しばらく間があって、キーボードの右手前からじわりと水が流れてきた。キーの隙間に消えた水が、そのまま流れ出たようだ。キーボードを裏返すと、いくつか細長い穴が空いており、ここから水が出ていた。

排水はキーボード裏側から

キーボード背面。細い穴が排水口になっている

もう少し詳しく調べるために、キートップを取り外してみた。[Shift]キーを下げ、マイナスドライバーを差し入れて隣のキーを持ち上げると外れる。キーを取り外していくと、薄型キーボードにもかかわらずかなり深い空間があった。ここに水が溜まるわけだ。キーの取り付け部分が高く、キーの接点を囲んでいる。また、キーの裏側が傘状に深く被さる形になっていて、キーの下に水が入っても接点部には影響しない仕組みだ。この空間の右手前に小さな穴が開けられており、溜まった水はここから下に流れていく。最終的には先ほどのようにキーボードの裏の穴から外へ排出される。テンキーやカーソルキーなども同じ仕組みになっていた。

キーをはずしたところ。かなり深く掘り込まれている。キー接点に水が入りにくい構造だ

キートップ下の排水口。受けられる水の量に対して小さすぎる気もする。埃をためないように注意したい

コーヒーや水をこぼしてキーボードを壊したり、キーを押しにくくしてしまった経験がある人なら、この機能がいかに素晴らしいか分かるはずだ。他のキーボードの場合、水をこぼしても充分に乾燥させればなんとなかった。しかし、ジュースやミルク入りコーヒーなど、糖分や脂肪分が含まれる液体の場合は厄介だ。乾燥してもべたべたして、キーが重くなったり、押しても戻ってこなかったり。キー接点部が通電したままになって使えなくなることがある。筆者もそんな状況を何度も経験している。水分だけではなく、ホコリや菓子のかけら、犬の毛が詰まることもある。どこかのキーが押しづらくなったな、と思うたびにキーボードを完全に分解して掃除する必要があった。しかし分解はメーカーの補償対象外の行為であり、かなりリスクの高い行為である。壊れてしまうことを覚悟して分解掃除をしていたわけだ。

Microsoft Digital Media Keyboard 3000も排水口が付いたとはいえ、それだけでは解決できないことがある。粘度の高い液体をこぼしてしまえば、キーの動作部にこびりついて使いづらくなる可能性はある。先に挙げたように、もちろん分解はメーカーの保証対象外である。

そんなとき、Microsoft Digital Media Keyboard 3000の場合はキーの下が水受け構造になっているため、キーボード全体を分解する必要がない。キーを取り外しただけで問題のある部分が特定でき、ウェットティッシュや綿棒でふき取れる。メーカーの保証対象外のメンテナンスを行ったとしても、故障するリスクを最小にとどめられる。それがこのキーの取り付け構造のよいところだ。