消費電力
それでは、肝心要の消費電力を見てみたい。以下のグラフは「ワットチェッカー」を用いてシステム全体の消費電力を計測した結果をまとめたものだ。省電力機能はONにしてあり、Idleの項目はOS起動後の何もしていない状態、Loadの項目はCINEBENCH R10のRenderring Multiple実行中のピーク値である。消費電力の上昇幅をわかりやすくするため、それぞれのCPUでIdle時とLoad時の差も別グラフでまとめた。
Phenom X4 9600 Black Editionと比べるとPhenom X4 9350eの優秀さが目立つが、今回の環境におけるシステム単位の消費電力の合計では、Phenom X4 9350eは、Core 2 Quad Q6600と比べてTDPの違いほどには優れているとも言い難い。ただし、異なるプラットフォーム間の比較なので、CPU以外の主要パーツの消費電力の違いを考慮する必要もあるだろう。
さて、そうでなくともチップセットなどCPU以外のパーツの消費電力は馬鹿にならない。ここ最近、AMDは「AMD 780G」などでチップセットの省電力性をアピールしているが、それらと組み合わせることで、システム単位の消費電力を更に下げることができる省電力CPUが、型落ち世代ではなく、同社最新のクアッドコア・アーキテクチャで投入されたメリットは大きい。
Phenomにはコア毎に独立した動作周波数のコントロールができるという特徴もある。一般的な実環境では、常にクアッドコアがフル稼動し続けるというわけでもないだろうし、上記のテスト結果より電力効率に優れた傾向になるかもしれない。価格も手頃であり、直近のAMDプラットフォーム向けでは最もオススメのCPUとして、Phenom X4 9350e/9150eを評価したい。
※お詫びと訂正
記事初出時に、Phenomはコア毎に独立した電圧コントロールができると記載しましたが、正しくは「コア毎に独立した動作周波数のコントロールができる」でしたので、該当箇所を修正いたしました。読者の皆様、ならびに関係各位には深くお詫び申し上げます。