一方、エグゼクティブクラスの新シートには「JALシェルフラット ネオ」の名称がつけられた。JALのビジネス(エグゼクティブ)ではすでに"シェルフラット"のシートが採用されていたが、今回の新シートは名前からもわかるように、従来のシェルフラットシートを改良したものだ。
シートピッチが約153cmと広くなり、新開発のシートクッションで快適性が増したのに加え、ベッド利用時のフラット具合も向上。最大リクライニング角度は約171度と、ほぼ水平に近いところまで平らにできる。座っても、寝ても心地よいシートに進化しているといえるだろう。ファーストクラスと同様、手元のコントローラからシート各部の位置調節をしたり、腰に振動を送る「LUMBAR SUPPORT」も利用できる。
エグゼクティブクラスも新シート「JALシェルフラット ネオ」に進化。写真は手前が「UPRIGHT」(通常ポジション)、奥が「BED」でもっともフラットにした状態だ。最大角度約171度で、文字どおりほぼベッド同様にくつろげる |
個人用テレビモニターも、クラス最大級という15.4インチへとサイズアップ。マガジンラックや収納スペースも充実した。メガネやスリッパを入れるための小物入れが多く設けられているのは、フライト中の利便性を考えると実にありがたいところである。
また、エグゼクティブクラス向けのバーカウンターには壁に「スカイギャラリー」が設置された。これは「上質なくつろぎ空間」をコンセプトとするもので、地球環境、日本文化などのテーマに応じた写真や絵画を展示するやすらぎのスペースとなる。第1弾は、富士フイルムとのコラボレーションによる屋久島の森林写真を展示予定。なお、エグゼクティブクラスは同路線に77席用意される。
15.4インチの大画面ディスプレイを採用した個人用テレビモニター。このサイズなら機内エンターテインメントの楽しみもまた一段と深まるにちがいない |
シートコントローラではファーストクラスと同様に位置調節が可能。腰の辺りで振動するLUMBAR SUPPORTもついている |
シートピッチが拡張され、従来よりもスペースが広がって快適さが増した。ご覧のように身長176cmの筆者が両足をグッと突っ張ってもけっこう余裕だ |
エグゼクティブシートは77席も用意されている。シェルのラウンドフォルムが特徴的なファーストクラスとはまた異なり、クールなイメージのデザインがポイント |
有名なエピソードだが、ジョン・レノンはビートルズ時代、英国王室主催の公演で「安い席の人は手拍子を、それ以外の方は宝石を鳴らしてください」とジョークを飛ばした。ファーストクラスやエグゼクティブクラスのシートがすばらしくなるのはいいけれど、一般庶民にとって所詮それは遠い憧れ……そう嘆く人も多いことだろう。しかし、"手拍子しか叩けない"方もどうぞご安心を。今回の新シート導入では、エコノミークラスのシートもしっかりと改良されている。
シートピッチはこれまでと変わらない約79cmのままだが、RECARO社製のシートを採用することで座り心地が向上。また、頭の動きにフィットして移動する"ハンモック式ヘッドレスト"を新規採用し、長時間フライトでのくつろぎ感がアップした。個人用テレビモニターも9インチへと拡大したので、これまでの小さな画面では物足りなかった人にとっても朗報といえる。
われらが(?)エコノミークラスもシートを改良。快適性を追求するため、ヘッドレストがハンモック式に変更された。中空構造で頭の動きに柔軟にフィットし、疲れを軽減してくれる |
エコノミークラスの個人用テレビモニターもサイズアップ。9インチに拡大されている。これなら従来よりも画面の見やすさが若干改善されるだろう |
今回の新シート導入により、採用路線の座席数は合計で246席となる(ファースト8、エグゼクティブ77、プレミアムエコノミー46、エコノミー115)。現行路線より座席数は2割前後減るが、半数以上をファースト・エグゼクティブの上級クラスが占める構成になることで、全体の収益は増すという。一般庶民にはなかなか縁遠い感のあるファーストクラス、エグゼクティブクラスだが、機会があればぜひその豪華ぶりと快適さを体験してみたいものだ。