日本の知床が、Firefox 3.1の開発コード名として採用された

2008年末か、または2009年Q1あたりでリリースが予定されている次期バージョンがFirefox 3.1だ。開発コード名は「SHIRETOKO」(知床)。Mozilla CorporationではFirefoxの開発コード名に国立公園の名称を付けている。今回は日本の知床が開発コード名として採用された。

Firefox 3.1 SHIRETOKOで取り組まれるのはパフォーマンスのさらなる向上とバグ修正、いくつかの新機能の追加になるようだ。HTML5での導入が予定されているvideo/audio要素もサポートされることになるのではないかとみられる。

JavaScriptエンジン実行速度改善の鍵はTamarinの採用にあるわけだが、SHIRETOKOでTamarinを採用することになるかはまだ分からないという。またvideo/audio要素の実装方針についても、OS上にインストールされているエンコーダを使うことになると思うとしながら、具体的にどうなるかはまだ分からないとした。順当にいけばChris Double氏のブログで紹介されているように、Linux版ではGStreamer、Windows版ではDirectShow、Mac OS X版ではQuickTimeを使った実装が採用されることになるだろう。

さらに先のリリースであり、次期メジャーアップグレードバージョンとなるのはFirefox 4.0だ。Mozilla Corporationでは18カ月間はメジャーアップグレードリリースを行わないことになっているため、少なくともFirefox 4.0のリリースは2009年12月までは行われない計算になる。順当にいけば2010年以降でのリリースになるだろう。それまで3系列がどこまでリリースされるかは、今後のフィードバックによって決定していくようだ。

Firefox 4.0に関して明確なスケジュールを立てるということはしないという。「グローバルにつながっている文化によって今を定義できる」というJohn Lilly氏の言葉にあるように、自由に参加でき、参加者がFirefoxの次の形を作っていくということなのだろう。

Firefox Mobile フェネック、Windows Mobileでアルファリリース

開発コード名「Fennec」の由来はフェネックギツネという

Firefox 3.1や4.0以上に、現在Mozillaがチャレンジしている分野がモバイルにおけるブラウザFirefox Mobileだ。Firefox Mobileの開発コード名は「Fennec」(フェネックギツネ)。フェネックギツネは大きな耳をもった小型のキツネ。モバイル向けのプロダクトであることからこのキツネが開発コード名として採用されたようだ。

Firefox Mobile Fennecは今後数カ月の間でアルファリリースが予定されており、現在はUIの実験が行われている。しばらくの間開発プラットフォームとしてはWindows Mobileに焦点をあてていくようだ。Symbianでどう展開していくかはまだ不明瞭であり、Androidでの採用もまだ分からない。AndoroidはWebKitを採用しているし、MozillaはAndoroidには参加していない。

Firefox Mobile UI提案例 - MozillaWikiより抜粋

Firefox MobileのUIはすでに実験的に公開されている。あくまでも実験的なもので今後大幅に変更される可能性が高いわけだが、iPhoneやiPod touchでの滑らかな使用が想像されるそのUIは、多くの開発者やユーザーの目をひいた。早くFirefox Mobileを自分の携帯端末で使いたいと思ったデベロッパは少なくないだろう。しかし、携帯端末で汎用的に使えるようになるにはまだ時期尚早だというのがJohn Lilly氏の手応えのようだ。「まだまだ携帯端末にフルブラウザを導入するというのは時期尚早だと考えている」とJohn Lilly氏。

Firefox MobileはGeckoベースで開発され、そこにJavaScriptエンジンを載せるといったように既存のFirefox技術が活用されている。エクステンションも使える見通しだ。Firefox 3で実現されたメモリ効率の改善や動作の高速化は、実はこうしたFirefox Mobileにおける展開も視野に入れたものとなっている。メモリを消費しない高速なブラウザはモバイルプラットフォームで有利に働くというわけだ。