開発環境を用意する

C言語によるアプリケーション開発は、テキストファイルにC言語で定められた文法に従って、実行手順を記述することから始まります。これをソースコードと呼びます。ソースコードが完成すると、実際にプログラムを実行するための実行可能ファイルを生成します。これは、Windows ではEXEという拡張子のファイルです。つまり、C言語で書いたプログラムを実行するには、ソースコードを実行可能ファイルに変換する作業が必要になります。

ソースコードをそのまま実行することが出来ないのは、コンピュータが人間の言葉を理解できないためです。コンピュータの世界では、すべてが0か1の信号によって表現されています。コンピュータが直接認識できるコードは、機械語とも呼ばれます。機械語は、0か1の数列でしかないので、人間が読み書きすることは困難です。そこで、比較的人間の使う言葉に近いプログラミング言語を使って手順を記し、変換機でソースコードを機械語に変換するという手順がプログラミングの一般的な開発方法となりました。この変換機のことをコンパイラと呼びます。

C言語のコンパイラさえ手に入れられれば、あらゆるシステムでC言語を使った開発ができます。前述したようにC言語は歴史と信頼のあるプログラミング言語なので、多くのシステムでC言語のコンパイラが作られ、今も実用されています。さらに、その多くは無償で提供されています。

本稿では、Windows XPまたはWindows Vista上で動作するアプリケーション開発を想定し、Microsoftから無償で提供されているVisual C++ 2008 Express Editionを使ってプログラムの作成、および実行するものとします。ただし、C言語はISOによって定められた標準言語なので、標準に準拠したコンパイラであれば他の環境でも同じように動作するでしょう。Visual C++ 2008 Express Editionのインストール方法や詳細は、以下のページを参照してください。

http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/express/

「はじめての方のための Visual C++ 2008 Express Edition インストール方法紹介」というページがあるので、そちらも参考にしてください。

Visual C++のような製品ブランドとC言語を混同しないように注意してください。「C言語」は、国際標準で定められたプログラムの書き方(仕様)を表します。これに対して、プログラムするために必要なコンパイラ(Visual C++のような開発環境)は、国際標準に定められた決まりに基づいて作られた製品です。多くのコンパイラは、仕様に従って作られますが、一部において異なる動作をしたり、仕様にはない拡張が施されていることも珍しくありません。

また、Visual C++は、製品にその名を冠にしているようにC++言語の開発環境だと説明されることがあります。C++言語は、その名前のようにC言語を継承しながら多くの新しい機能を導入したプログラミング言語です。しかし、Visual C++も含めて、多くのC++コンパイラはC言語をコンパイルする機能を併せ持っています。通常は.cppという拡張子のファイルはC++言語、.cという拡張子のファイルはC言語と解釈してコンパイルされます。