時代に流されない堅実な開発ツール

本稿では、80年代から多くの環境で実用され、今もなお多くの現場でプロフェッショナルに愛用されているプログラミング言語 Cについて解説させていただきます。本稿の対象読者は、基本的なコンピュータの操作方法や基礎的な仕組みについて理解されている、プログラミングに興味のある初学者の方とさせていただきます。プログラミング経験は不問ですが、C言語以外のプログラミングの経験が多少でもあれば、より簡単に読み進めることができるでしょう。

C言語は、専門学校などでも基礎的な技術としてカリキュラムに組み込まれており、一時はプログラマへの登竜門的な言語であると考えられていました。その地位は、現在も変わりませんが、アプリケーション開発が複雑になるにつれて、より生産性や安全性の高い言語が作られ、C言語の役割も限定的になってきています。例えば、Windowsアプリケーション開発ではVisual BasicやC#と呼ばれる言語が主流になりつつあり、GoogleのようなWebベースのアプリケーションではJavaやPHP、Ruby、Python、JavaScriptなどが使われています。

では、今から新たにC言語を覚えることにどれほどの価値があるのでしょう。もちろん、C言語はあらゆるアプリケーション開発に利用できるプログラミング言語なので、アプリケーションを開発するために学習することは十分に価値があります。ちょっとしたツールから、ビジネスアプリケーション、ゲームなど、どのような種類のアプリケーションでも開発できます。加えて、C言語は国際標準化機構 ISO(International Organization for Standardization)で標準化されているプログラミング言語です。比較的古いシステムから、最新のWindows、Linux、Mac OS Xなど、多くの環境で開発ツールがサポートされています。

ただし、Webベースのアプリケーション開発には適していません。また、変化に強い柔軟性のあるアプリケーション開発も、開発者の手腕にも依存するところですが、あまり得意としないところがあります。こうした部分については、90年代以降に作られたJavaやC#言語などが有利ですが、こうした新しい言語の多くはC言語の文法を参考としています。そのため、一度、C言語を学習することで他の多くのプログラミング言語の基礎的な文法も理解が容易になるでしょう。

C言語は、プログラマの要求に堅実に答えてくれるスマートで強力なプログラミング言語です。それ故に、扱いが難しいと感じてしまう方も多いかもしれませんが、しっかりと基礎を学習し、その仕組みを理解したときにC言語の魅力と、そのポテンシャルの高さに気がつくことでしょう。プログラミングが初めての方も、すでに他のプログラミング言語で開発をされている方も、本稿をきっかけにC言語による開発を楽しんでいただければ幸いです。