一連の買収騒動からはいったん引いて、戦略再考のフェイズに入っているのはMicrosoftだ。同社がもしYahoo!買収を行わない場合、赤字低迷を続ける自社のオンライン/広告事業を立て直すには、「Windows Live」の名称で肝いりで始められた一連のサービス群の根本的なてこ入れが急務となる。タイトル表記にもあるブランド名の変更も、そのオプションの1つとなる。
米Microsoftのプラットフォーム&サービス部門プレジデントのKevin Johnson氏は6月3日(現地時間)、同社のお膝元でもある米ワシントン州シアトルで開催された検索広告カンファレンスにおいて、「MicrosoftはGoogleとより対抗していくため、その検索サービスのイメージを"FIX(定着させる)"ことに注力している」とコメントした。米AP通信を含む、複数の報道機関が報じている。
これは、ニュースサイトの「SearchEngineLand.com」の親会社が開催したカンファレンスでの一幕だ。同サイトの編集者であるDanny Sullivan氏が「それは、"FIX(定着)"ではなく"CHANGE(変更)"したいということか?」とJohnson氏にその意図の説明を求めたところ、Johnson氏は「"FIX"とは文字通り"FIX"だ。もしそれが"CHANGE"というのであれば、われわれも"CHANGE"ということになるだろう」と返答している。
Sullivan氏の質問の意図は「Microsoftは"(同社の)検索サービス"のブランドイメージをFIX(定着)させようと言っているが、その実はブランド名のCHANGE(変更)を意味するのではないか?」という点にある。つまり「Liveというブランドの定着」ではなく「名称の変更でサービスの再ブランディングを図るかどうか」ということだ。Johnson氏の返答もわかりにくいが、Microsoftとしての優先事項は「"検索サービス"の"FIX"」であり、それがもし「"ブランド名"の"CHANGE"」を含むのであれば、それもアリだろうということだ。直接的ではないものの、「Live」ブランドの変更を認めたことになる。
AP通信によれば、Sullivan氏は「Liveサービスの名称を止め、MSNへの名称復帰または"Microsoft Search"への名称の変更」を以前より提言していたという。Microsoftの検索サービスが低迷している理由はいろいろ考えられるが、その一因としてブランディングの問題も考えられるだろう。Yahoo!買収の成否に関わらず、Microsoftは今後のブランディングの問題をクリアしなければならない。