5月6日より9日にかけての4日間、米国サンフランシスコにあるThe Moscone Center周辺は世界中から集まったJava開発者で溢れかえった。Java開発者のための世界最大のイベントである「2008 JavaOne Conference」が開催されていたためだ。

JavaOne会期中、筆者の1日の睡眠時間はだいたい1 - 2時間となる。これは深夜にホテルでレポート記事を書いているからではあるが、一般の参加者もほぼ似たような状況なのではないだろうか。朝7時に朝食エリアが開放されてから、General Session、Technical Session、BOFやパーティと続き、人によっては意気投合した他の参加者とBarに繰り出していく。「JavaOneは体力勝負」と参加者の誰もが口にするが、その体力勝負を後ろから支えているのがJavaに対する熱い思いだ。本稿ではそのような刺激的な4日間を過ごさせてくれた2008年のJavaOneを振り返ってみたいと思う。

会場となったサンフランシスコのモスコーンセンター。NorthとSouthの2会場を使用した

朝食は無料。お味のほうはというと……(以下自粛)。この味を帰国後に参加者どうしでネタにするのもJavaOneのお約束(笑)

初日のゼネラルセッションは4日間のJavaOneを通しても最大のイベント。ダンスや歌で雰囲気が盛り上がったところで、James Gosling、John Gage、Chris Melissinosの3氏が登壇して、おなじみのTシャツ投げが開始

例年のような派手さはなかったが…

JavaOneというと毎年何かしら新しい技術やプロダクトの発表があり会場を沸かせる。それに対して今年はいつものような派手さはなかったが、これまで発表されてきたさまざまな技術の具体的な形や、それらの多くがすでに我々の生活を取り巻いているという様子を見せることが中心になっていたように感じられた。

たとえば昨年華々しくデビューを飾ったJavaFXについては、General Sessionをはじめとした多くのセッションで実装例が紹介され、昨年の時点では見えてこなかった具体的な姿が明らかにされている。

OpenJDKは昨年のJavaOneで最初のバージョンのリリースが大々的に発表されたが、その際はまだ数パーセントのクローズドなコードが含まれていた。1年経った現在はすでに100%オープンなOpenJDK 6がリリースされており、Java SE 7に向けた各種JSRの実装もOpenJDK内のプロジェクトとして発足している。これについてはこのレポートで詳しくお伝えした。

Javaが我々の生活を取り巻いているという点も強調されていた。たとえばGeneral SessionではAmazonの電子ブック「Kindle」やSony Ericssonの携帯電話によるJava利用のデモが紹介されている。Neil Young氏が登場したのも、同氏がリリースしたBlu-ray Discの制御にJavaが利用されているためだ。

このように、今年はより実践的な"現在のJava"を強調するJavaOneだったのではないか、というのが筆者の印象だ。「JAVA + YOU」というテーマが表すように、Javaはある種の完成形を見せながら私たちの間で存在感を発揮している、そのことが強くアピールされていたと思う。

初日のGeneral Sessionに登場したNeil Young。大物ゲストの登場に会場は大喜びだったが、「Neil Youngって誰?」という若い参加者も多かった。曲を聴けばわかるはず…だよね?

会場のあちこちに掲げられていた「JAVA + YOU」のメッセージ。昨年のTIME誌の"今年の人"が「YOU」だったことを受けているのか?