――次回作のお話しなども聞かせてください。

坂口「次回作は北村龍平監督プロデュースの『鎧』というスプラッター映画です。北村さんが脚本を書いて、僕は監督のみで、出演はしてません。侍、ゾンビ、殺陣、などが満載のエンターテイメント作品で、世界でも通用する作品だと思います。これまでのスプラッターホラーの常識ってものを覆しています。凄く笑えるんだけど、手足はボンボン飛んじゃう、プラス感動巨編(笑)。そんな感じの映画です。とにかく楽しみにしてください」

――坂口さんの主演デビュー作である『VERSUS -ヴァーサス-』(2001年)の続編はどうでしょう?

坂口「『VERSUS2』はみんな観たいだろうけど、僕はなかなかすぐには実現しないと思ってるんです。だから榊英雄(※伊達臣人役 坂口拓演じる剣の宿命のライバル。『VERSUS -ヴァーサス-』、『ALIVE -アライブ-』(2003年)でも、ふたりは対決している)さんと僕の戦いは『魁!!男塾』で卒業ということで(笑)。『VERSUS -ヴァーサス-』は時空を超えて何回も僕と榊さんが戦うという設定なんで、それを知ってる人にとっては凄い面白い顔合わせだと思います。ふたりが輪廻転生して、『魁!!男塾』の世界で最後に戦うという……」

マジ当てが坂口アクションの真髄。蹴り、確かに当たってます。完全に入ってます。次作は真剣でマジ当てに挑戦!?

これまでも、何本もの映画でガチ対決を繰り広げてきた坂口拓と榊英雄のふたりが『魁!!男塾』の世界でも対決!!

――それは凄い裏設定ですね。ところで、俳優としての坂口さんのこれからは?

坂口「はっきり言って、今、アクション俳優は自分しかいないですから、続けていきますね。今アクションを辞めちゃうと『アクションやりたい』って若い俳優がみんな潰れちゃうと思うんですよ。尖ってやっていかなきゃいけない時期だと思ってるんです」

――「アクション俳優が自分しかいない」と断言されてましたが……。

坂口「いないですよ。今、みんな俳優さんはCG使ってやっちゃってますからね。CG使ってなくても、突き詰めると普通の俳優さんには出来ない事って多いんです。立ち回りの仕方ひとつだって、本物と差が出てしまいますから。そこら辺を身体を使って表現するってことに対して長けてるのがアクション俳優なんです。要は際どいとこまでいく、それがやっぱり普通の俳優さんだとやりづらいわけです。そこは、アクション俳優がやらなきゃいけない部分ですね。まぁ、そろそろやろうと思ってるんです」

――際どいアクションって具体的には……。

坂口「マジ当ての時代劇ですね……。誰も見た事のないような刀を使った、要はマジ当ての立ち回り、マジ当ての喧嘩ですね。マジ当ての殺陣って、誰も観た事ないじゃないですか」

――坂口さんは以前からアクション監督としても、本物にこだわってますね(※坂口はデビュー作で本物のナイフを使用して喧嘩シーンに挑んだというエピソードがある)。

坂口「そうですね。僕のやってる事なんて、誰もやってない事ばかりですよ。顔面殴りもそうですし、柔術技であってもそうですし、スタントだってそうです。車のはねられ方ひとつとっても、誰もやってこなかった事をしています。全部がそうなんです。スタントとアクションのレベルが誰も見たことがないものをやるっていうのがうちの流派なんです(※坂口監督はチームZERO'Sというアクションチームを率いている)。

伝説は真実だった。これが1秒間に3発放たれたパンチだ

――坂口さんのアクションのためのトレーニングは半端じゃないと聞いていますが……。

坂口「ええ、実践的に立ち技でスパーリング的なものを1日に20ラウンドぐらいやって、その後柔術もがっつり。だから基本的に格闘家と変わらないですよ。プラスアクションの基本の刀とか殺陣。単純に10キロ以上の木剣を撮影入る前は1日1000回以上振るんじゃないんですかね。真剣を振っても、それで、1秒間にふた振りできるような筋力をつけるんです」

――伝説的なエピソードで、1秒間にパンチを3発打てるって聞いたんですけど……。

坂口「余裕ですよ。撮影しますか(笑)? ブレると思いますが(※この時、実際に凄い速度でジャブが繰り出された。それがこのページの写真だ!)。

――凄いものを見せていただきました。これからの更なる熱い活躍を期待しています。

俳優として、監督として、これからも本物のアクションが満載されたエンターテイメント映画を届け続けてくれるであろう坂口拓。まずは『魁!!男塾』のDVDで彼の熱い情熱と魅力を感じて欲しい。


坂口拓 プロフィール

1975年、石川県出身。特技・時代殺陣、現代殺陣、ボクシング、格闘技(八極拳・少林寺拳法・キックボクシング)。映画『VERSUS-ヴァーサス-』(2001年)で主演デビュー。本物のアクション俳優として高い評価を得て、映画を中心に活躍。主な出演作品に、『ALIVE -アライヴ-』、『地獄甲子園』、『荒神』、『あずみ』(以上、2003年)、『ゴジラ-FINAL WARS-』(2004年)、『パッチギ!』、『あずみ2』、『SHINOBI』、『魁!! クロマティ高校/THE MOVIE』(以上、2005年)、『スケバン刑事』(2006年)、『実録連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007年)などがある。『魁!! 男塾』(2008年)で監督デビュー。次回監督作は『鎧』(2008年)を予定。映画『アキハバラ@DEEP』(2006年)、『ジョシデカ!-女子刑事-』(2007年・TBS)など、多くの映画・テレビドラマでアクション監督も務める

『魁!!男塾 プレミアム・エディション』
6,090円(スタンダード・エディション5,040円)
発売元:バップ 発売中

(c)宮下あきら/集英社・「魁!!男塾」製作委員会2007

インタビュー撮影:清水敬士