リアル過ぎる危険なアクションを得意とする俳優・坂口拓。俳優だけでなく、アクション監督としても様々な映画で活躍してきた坂口拓の初監督作品『魁!! 男塾』(2008年)のDVDが遂に発売された。「日本一バカで熱い映画」と言われる『魁!!男塾』を作った坂口拓が、映画やアクションに賭ける熱く激しい想いを語り尽くす。
――坂口監督は監督デビュー作で、「実写化不可能」と言われていた人気コミック『魁!!男塾』(宮下あきら原作)を映画化しました。まずは、映画化の経緯を教えてください。
坂口拓(以下、坂口)「最初はアメリカから、"アメリカ出資で日本で面白い映画を作ってくれ"ってオファーが来ました。その時、僕はちょうど30歳で、30歳になったら監督をやりたいと思ってたんです。デビュー作は『魁!!男塾』と決めていました。でも、『魁!!男塾』に決まった時に、アメリカ側は降りちゃったんです(笑)。"じゃあ、自分でやります"って集英社に自分で行って、熱く説得したんですよ」
――「自分で行き、熱く説得」っていうのが凄いですね。やはり『魁!!男塾』を選ばれたのは、「熱い対決物」が描きたかったからでしょうか?
坂口「『魁!!男塾』を映画に出来たら、少年ジャンプ黄金期の熱い対決物を全部やれるって気持ちはありますね(笑)。要はやり方ですよね。CGでお金をかけて出来る事って結構あると思うんですけど、まだ映像の境目で、"これCGだ"ってわかりますからね。だから、僕はまだガチで肉体を使ってやるのが面白いと思ってるんです。僕は際どいアクションができると思ってるんで。いつか『ジョジョの奇妙な冒険』とか『聖闘士星矢』とかも、ガチのアクションで実写化したいですね」
――坂口さんは、今回、脚本も書かれてますね。主役を桃太郎(坂口拓)、富樫(照英)、虎丸(山田親太郎)の3人に絞り込んだのは、どういう意図があったのですか?
坂口「原作では大四凶殺でJが出てるんですけど、映画のバランスとして、4つの対決アクションを見せるとダレるんですよ。そこで、映画では3人で3つの闘いに絞ったんです。あと意識したのは、男塾のやつらだけを描くと、ちょっとぶっ飛びすぎちゃうので、秀麻呂(尾上寛之)をストリーテラーとして立てたんです。男じゃなかったやつが男になっていく姿を描く事によって、エンターテイメントに転がそうと。そのふたつに絞り込んで脚本を書いたんです」
魁!!男塾 ストーリー
――坂口さんの演じる桃太郎が口数も少なくて主役っぽくないというか、もう見方によっては、秀麻呂が主役とも言えますね。
坂口「現場の僕って俳優、俳優してないんですよ(笑)。完全に監督なんです。結構、自分が演じてても、自分より役者さんが気になって全体を見ちゃうんです。だからこの映画では自分の出番を少なくしたんです(笑)」