5月14日から16日までの3日間、東京ビッグサイトで、組み込みシステムの開発に必要なハードウェア、ソフトウェア、コンポーネントから開発環境までが一堂に集う専門展「第11回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」が開催されている。
11回目となる今回の展示会場は、通常の展示ゾーンのほかに「テスト・検証 ゾーン」「無線通信 ゾーン」「組込み画像処理 ゾーン」「タッチパネル・ディスプレイ ゾーン」「モーション コントロール ゾーン」「設計・開発サービス/コンサルティング ゾーン」の6つの特設ゾーンが設けられているほか、特設EXPOとして「組込みボード・コンピュータEXPO」が設けられている。
今回の参加出展社数は過去最多の600社。いずれの企業も一般ユーザーとはなじみが薄いが、その多くが文字通り最終製品の中に組み込まれ、知らず知らずに使用していることが多い。
NECエレクトロニクスのブースでは、車載機器向けにFlexRay評価ボードやCANネットワーク評価キット「StickCAN V850」、マイコン製品としてAll Flashマイコンの開発環境や「Platform for Embedded System in a Package(PFESiP:プラットフォームイーシップ)」などの展示が行われている。
StickCAN V850は、USBメモリスティック同等サイズの本体とCANハーネス、セットアップディスクで構成される。本体はUSBバスパワー動作が可能で、CANトランシーバを内蔵しているため、実機のあるCANネットワークへ接続し、仮想ノードとして使用することが可能である。
また、PFESiP「EP-1シリーズ」は、ゲートアレイと32ビットの専用マイコンをSiP化したもの。ユーザーはゲートアレイの開発を行うだけで、CPU内蔵ASICを実現することができ、開発コストや部品点数の削減、開発期間の短縮を実現する。また、マイコンとゲートアレイをダイレクトボンディングで接続しているため、ノイズの発生を抑制することができるといった利点もある。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのブースでは、i.MXマルチメディアソリューションとして、マルチメディア・アプリケーション・プロセッサ「i.MX27」をベースにしたIPカメラ向けリファレンスデザインなどの展示を行っている。
同リファレンスデザインは、1チップでH.264/MPEG-4エンコードに対応しているほか、イーサネット10/100 MAC、NAND型フラッシュメモリからのブート機能、無線LAN接続などに対応している。また、Power over Ethernet(PoE)にも対応しており、イーサネットケーブルから電力を受け取ることが可能だ。
このほか、同社ブースではハードウェアアクセラレータによる高速ディープ・パケット・インスペクション(DPI)の紹介なども行っていた。これは、同社のPowerQUICC IIIプロセッサ内蔵の専用ハードウェア(パターン・マッチング・エンジン)により、高速かつリアルタイムのアンチウィルス/不正侵入防止処理を行うというもの。アンリウィルスソリューションとしてKasperskyの「SafeStream」が、ファイアウォールソリューションとしてQosmosの「Qoala」がそれぞれ提供される。