「携帯電話ではなく、サービスを売る」

製品ラインナップの差別化が難しく、価格競争の激しい携帯電話だが、西牧氏によると同社のビジネスは好調で、売り上げも伸びているという。

「携帯電話は、ゼロ円の端末が販売されています。ゼロ円の端末はお客様には喜ばれても、商売にはならない。我々は端末ではなく、『管理』といったサービスを売っているのです。お客様のニーズに合ったサービスやソリューションを提供するためにも、お客様からのヒアリングやコンサルティングを大事にしています。」(西牧氏)

"製品ではなくサービスを売れ"という言葉はよく耳にする。質の高いサービスは模倣されにくいし、何よりも製品を提供するだけでは顧客の抱える複雑なニーズは満たせない。

携帯電話の枠を超えて幅広いニーズに対応

そのほか、KCS Motionは企業の内線電話管理システムなどにも使われているという。

「内線電話ですが、最近ではPBX(private branch exchange : 構内交換機)にかわって、VoIP(インターネット回線を利用した電話。ここでは社内LANを使った内線電話)を採用する企業が増えています。この内線電話のシステムも経理システムと同じように各企業によりさまざまです。また、それまでとはまったく違ったシステムを導入するとなると、混乱が起きる恐れもあります。そこで、システムはPBXからVoIPへとまったく新しいものにしても、使い方は従来と同じようにしたいという要求が多くあります。大企業の内線電話ともなると、電話の数は数千台規模になるわけですが、こういった場合にもKCS Motionを利用して、各企業に合わせた内線電話管理システムを構築しています。」(時田氏)

また、"電話"という枠を超えたサービスも展開している。

「KCS Motionを資材管理に利用している企業もあります。例えば事務用品の購入など、応用事例は広がっています。これによって、事務部門の負担がかなり軽くなったと聞いています。KCS Motionは携帯電話だけに限らず、『人がモノを管理しなければならない』という場面において、非常に便利なツールだといえます。」(時田氏)

冒頭でも述べたように、携帯電話は仕事においても必須の道具となっている。最近では、業務に合わせてソフトウェアをカスタマイズしたり、独自に開発するといったケースも出てきている。

こうした中で、顧客のニーズに合わせ、かつキャリアの一次代理店という強みを生かした兼松コミュニケーションズのサービスやソリューションはますます重要性を増していくだろう。