--パートナーとの連携という点では、顧客からのフィードバックも多く反映しているようですが。
五十嵐 私の役割として、日本の顧客からも数多くの声を反映させることに力を注ぎました。顧客の声を反映した部分では、新たなインストール形態である「Server Core」がそのひとつだといえます。これは現場のエンジニアから強く要望されていたもので、必要最低限の機能だけを、裸のままでインストールすることができるようになる。SAPを運用しているシステムのなかに、Media Centerの機能を入れたくないといったようなユーザーにとっては最適なものです。また、スクリプトで複数のサーバを管理している場合に、新たなコマンドシェルラインであるPowerShellを活用できるといったこともそのひとつです。さらに、仮想化技術も顧客の要望に応える形で、大幅な強化と、ベータ版からのフィードバックによるきめ細かな改善を図っています。
--インダストリーローンチにおいて、最も苦労した点はどこですか。
五十嵐 最もハードルが高いのは、エンジニアの育成です。これは単に講習を受けていただくだけでは意味がない。まず、認定試験に合格していただかなくてはならない。しかも、認定試験を開始したのは3月上旬で、4月の発表までにどれぐらいの人が合格するのかはわからなかった。500人でも大きな目標だと思っていましたが、結果として、700人以上の認定技術者が誕生した。これは、パートナー各社が、新たなプラットフォームのビジネスに大きな期待を寄せている証だと感じます。
--正式発表が終わり、いよいよ本当の意味でスタートを切ったわけですが、これからはどんな施策を打ちますか。
五十嵐 当社とパートナー各社が、一緒にスタートラインに立つことができ、一緒にスタートを切ることができた。まずは、これからの3カ月、6カ月が正念場となります。とくに、1人1人のエンジニアに対して、マイクロソフトのメッセージを伝えることが重要でしょう。大阪、名古屋でも、東京と同様のローンチイベントを行いますし、7月からは全国のマイクロソフトの支店においても展開していく。さらに、TechNetやMSDNによる告知の強化も進めていきたい。
市橋 4月15日からは、Virtual Launch Event(VLE)として、ウェブ上での製品発表イベントを行っています。東京、大阪、名古屋のイベントにも、各支店のイベントにも参加できないというパートナーに対して、バーチャルな環境で、製品に対する理解を深めていただくようにしました。こうした手法を通じた、エンジニアとのコミュニケーションも強めていきたい。
五十嵐 さらに8月には、Tech-Edが予定されています。ここでもう一度、エキサイティングな情報をお届けできると考えています。ここでは、テクノロジーの深堀といった動きが進展することになるでしょう。一方、日本ヒューレット・パッカードや富士通、伊藤忠テクノソリューションといったパートナー企業と設置した検証センターによる成果といったものも、エンジニアに対して提供できると考えています。いずれにしろ、この6カ月の間には、仮想化技術であるHyper-Vの提供や、SQL Server 2008の投入が予定されていますから、これからも話題には事欠かないといえます。