最後に欠点と感じられた部分についても触れておこう。まずは、バッテリ駆動時間がカタログ値で約3.2時間と最近のモバイルノートパソコンにしてはかなり短い点だ。省電力機能をオフにして、輝度最大の状態でFFベンチのデモモードを低解像度モードでループし続け、自動的にスタンバイに入るまでの時間を計測したところ、1時間16分しか持たなかった。ドキュメント作成やWebブラウジングではもう少し寿命が延びるだろうが、それでも比較的短時間の会議などですらACアダプタを常に携帯せざるをえないのは改善を期待したいポイントのひとつだ。なお、予算に余裕があるならば、オプションの6セルバッテリ(1万8,060円)と光学ドライブ部に取り付ける3セルのベイ・バッテリ(1万6,695円)を同時に利用することで、最大8.2時間まで駆動時間を延長できる。また、Windows XP Professionalを搭載すればバッテリ駆動時間がもう少し延長されて10時間近い駆動が可能とのことだ。

もうひとつの欠点が、カードスロットが一切用意されていない点だ。ThinkPad X300のような軽量・薄型モバイルノートパソコンでは、通信カードと組み合わせて場所を問わずインターネットを利用したいと思うものだ。しかし、PCカードスロット、ExpressCardスロット、CFカードスロットといったカードスロットがまったくないため一般的な通信カードは利用できず、利用するとすればUSBタイプのものに限られる点に注意したい。また、SDカードなどのメモリースロットもないため、デジカメなどからデータを吸い上げる際にもUSBを使う必要がある。ただし、mini PCI Expressスロットが3本用意されているので、将来的にmini PCI Expressカードタイプの内蔵型WANカードなどが発売された場合には簡単に装着して利用できるようになることを付記しておこう。

最後のネックが価格だ。レノボ直販サイトでのダイレクト価格は最廉価モデルとなる647612Jでさえ34万6,500円、最上位モデルの647818Jで36万5,400円と高嶺の花を感じさせる価格設定となっている。たしかにその価格に値するだけの作り込みとパフォーマンスをあわせもつ製品だが、ハードディスク搭載モデルなどを追加してもう少し廉価になるとさらに広い層に受け入れられるものになるに違いない。SSDの値下がり・大容量化とともに後継モデルの価格設定がどのように変化していくかは大いに期待したいところだ。

結論からいうと、現時点ではガジェット好きのテックギーク向け製品というイメージがぬぐい去れないものの、奇をてらわず携帯性や堅牢性、基本的なユーザビリティを高めることで長く使い続けられる上質なビジネスマシンに仕上がっているのは言うまでもない。価格が気にならないのならば、何も考えずに購入してしまっても後悔することはないだろう。今後、ThinkPad X300はシリーズ化されて新モデルの発売もあるとのことなので、価格が高くてどうしても手が出ないという向き(筆者を含む)はこれからの動向を注視するといいだろう。

試用機の仕様