露出補正に集中して撮りたい
露出の取り方は、なにか以前のカメラのようだった。コントラストの高いシーンではアンダーになってしまう。露出を+1EVぐらい補正してちょうどいいということも多かった。
また、一眼レフのつもりで操作すると、露出の幅が足りなくなることもある。たとえば、よく晴れた日に開放で撮るとシャッター速度が不足し(F4では最高1/1000秒)、簡単にオーバーになってしまう。撮像感度は最高でISO 800だが、オートにするとISO 100かISO 200の2段階になる。絞りはF4からF11までと、これも一眼レフに比べて設定幅は狭い。
だが、これをコンパクトカメラだと思って使えば、十分な設定幅があることに気付いた。コンパクトカメラでは、絞りが大小の2種類しかないものだって珍しくないのだから、DP1は贅沢な作りかもしれない。絞りやシャッター速度にこだわらず、ある程度カメラまかせにして、露出補正だけ気にするのが撮りやすいと思う。一眼レフの大口径レンズのような強いボケはなくても、コンパクトカメラのようなパンフォーカス的画像にはならない。ちゃんと背景は背景なりにボケてくれる。
絵作り、色の傾向
DP1の絵づくりは、露出の取り方もあるが、ちょっと前のデジタル一眼レフに似た感じだった。彩度の高い被写体でも色を張りつかせず、主たる色でちゃんと階調を確保している。場合によっては濁ったように見えるが、少し補正すればどのようにでも色合いを変えてくる。ちなみにDP1のカラーモードである「色モード」では、「標準」(カラー)のほかは、「セピア」と「白黒」のみだ。
マクベスチャートを露出を変えて明度の変化を見たところ(下のダイナミックレンジのグラフ)、ニコン「D70」などとそっくりなグラフになった。D70はマゼンタよりシアンのカーブが上に位置する傾向があったが、それを別にするとよく似たカーブを描く。D70の画像は"ポテンシャルの高い画像"といった形容をされたが、DP1の画像もそれに近い印象を受けた。もちろんRAWであれば、さらに可能性は広がるはずだ。
また、DP1はレンズや絞りなど光学系のクセもけっこう感じられる。強い光源をフレームに入れると一眼レフではあまり見たことのない網状のゴーストが発生したり、絞りが影響して太陽が星型に写ることもある。白飛びもけっこう唐突にやってくる。また、周辺の光量落ちは普通のレベルで現れるが、暗い部分に緑色が乗る傾向もあるようだ。これらを欠点とするのは簡単だが、個人的には逆におもしろいと思った。
また、この記事執筆中にDP1の新しいファームウェアや付属ソフトのバージョンアップのニュースが届いた。今回の撮影には間に合わなかったが、これで周辺が緑色になる現象も少しは減るかもしれない。こういったバージョンアップで自分のカメラが少しずつよくなっていくのは楽しいことだと思う。
明るさを変えてマクベスのチャートを撮影し、明度の変化をまとめたものが右のグラフ |
非常に直線的なグラフになった。明るさが変化しても色のバランスは変わらないわけで、扱いやすい特性といえる。色による明度の違いも少ない |