シグマから、APS-Cサイズのセンサーと35mm判換算28mm相当の単焦点レンズを搭載したコンパクトデジタルカメラ「DP1」が発売された。DP1の発売は3月3日に始まっており、マイコミジャーナルの価格情報での平均価格は約9万5,000円(4月1日現在)となっている。
DP1の魅力は大きな撮像素子
「DP1」は、一眼レフに搭載する大型イメージセンサーを小さななボディに納めたコンパクトデジタルカメラ。2006年のフォトキナ(Photokina 2006)で参考出品されたときから、注目度はとても高かった。DP1に使われる撮像素子は20.7×13.8mm。APS-Cとするにはちょっと小さいが、一般的なコンパクトデジタルカメラに使われている1/1.8~1/2.53型CCDに比べて約7~12倍の大きさになるという。これは確かに魅力的だ。
DP1の撮像素子は、シグマのデジタル一眼レフカメラ「SD14」に採用されたものと同タイプの「フォビオン(FOVEON) X3センサー」。光が色(周波数)によって透過性が異なることを利用したもので、受光部分ひとつで3色の情報が得られるという。このため有効解像度は、横2652×縦1768×3層の約1406万画素となる。
搭載するレンズは、焦点距離16.6mm(35mm判換算:28mm相当)で開放値F4の単焦点レンズ。一眼レフ交換レンズ用と同等の大口径ガラスモールド非球面レンズを採用し、歪曲収差が少なく、高いコントラストを可能にしたという。
レンズの前玉は、傷をつけないかと心配になってしまうくらい大きい。このくらいの大きさがあれば、開放値をF2.8までもっていけそうな気もするが、それだけ撮像素子が大きいということなのだろう(コンパクトカメラのF値が明るいのは撮像素子が小さいため)。F2.8まであればもっとボケが強くできるのに……、とちょっと残念に思った。レンズのカバーも、電源を入れると開閉するレンズバリア方式が便利なのだが、これだけ大きいと無理なのだろう。カチっと押し込む脱着式になっている。
28mm相当の画角は、私的にはとても使いやすい。35mmよりもこのくらい広いほうが楽しいと思う。別売りで専用フードとアダプターのセット「HA-11」が用意されている。専用のワイコンやテレコンが今後発売されるのを期待したい。
通常の撮像素子はカラーフィルターを使い、1画素(の面積)で1色のみ取り出す。極論すると、光の2/3は使用していないことになる |
フォビオンX3センサーは3層になっており、1画素の面積で3色を取り込むことが可能 |
マニュアルでピントの合うコンパクトカメラ
フォーカスの設定は、AF合焦範囲を50cm~∞とマクロ向けの30cm~∞に切り替えができるオートフォーカスと、マニュアルフォーカスの3種類が用意されている。AF方式は通常のコンパクトカメラと同じくコントラスト検出方式で、AFポイントは9点。マニュアルフォーカス時は、ピント調整時にフォーカスフレームの範囲を拡大表示する機能を備えている。
液晶モニターは2.5型約23万画素TFT。見え方はなんとなくざらついた感じで、コントラストが低く細部がわかりづらい。ピントの具合も分かりやすいとはいえない。パソコンで画像を開いたときに、「えっ! こんなきれいだったの」と驚くという意味ではいいかもしれないが。DP1のボディは普通のコンパクトカメラより大きいので、3型の液晶も搭載できたかもしれない。
表示で惜しいと思うことは、グリッド表示ができないこと(後述)。28mm相当の画角はパースがつきやすいこともあって、水平がずれているとものすごく目立ってしまう。ただ、本体上部にはホットシューが備えてあるので、水準器を装着するといいかもしれない。別売アクセサリーも豊富で、外部フラッシュ「エレクトロニックフラッシュ EF-140 DG」のほか、専用ビューファインダー「VF-11」が用意されている。
と、書いた後でファームウェアのバージョンアップのニュースが届いた。どうやらグリッド表示が可能になるようだ。これで少し使いやすくなると思う。