登場迫るCentrino 2について
既存のノートブックにも「Centrino 2」こと、新プラットフォーム「Montevina」の提供が予定されているが、間もなくの登場を控え、Perlmutter氏からはこちらの最新情報についても言及がされた。まず、同社調べによるユーザーがノートブックに何を求めているのか、という報告が示される。それはバッテリーライフの延長であり、セキュリティの強化、スタイリッシュなデザイン、そして依然として高いパフォーマンスへの欲求がほとんどを占めており、これらはSanta Rosa世代から既に言われ続けていることである。Netbook/Nettopでは新たなジャンルを開拓するが、Montevinaでは従来と同様の路線を突き詰める拡張が行われることとなる。
ただ、従来のCentrinoとは違ったポイントとして、Perlmutter氏は、Montevinaのパフォーマンスにおけるひとつの側面として、"ビュジュアルコンピューティング"への対応を挙げる。これは、CPUの処理能力はプラットフォームのパフォーマンスを語る上で重要だが、それとは別にグラフィックス周りの機能についてもアピールするものだ。
Montevinaでは、統合されるグラフィックスコアの性能向上により、3DMarkのスコアで2倍近い成績を残せる3Dパフォーマンスを獲得しているとされ、HDコンテンツの再生品質でも、画質を数値化するHQVベンチマークにおいて、(130が最良とされるスコアで)120ほどをマークする。効率が向上した省電力機能により、HDコンテンツを再生した場合でも、映画1本分が視聴可能な2時間半のバッテリーライフも確保できるとされる。また、DisplayPortによる映像出力もサポートする。
さて、パフォーマンスについての拡張では、もうひとつ興味深い話題があった。これまでのパフォーマンスアップは、CPUなどシリコンテクノロジの進化が牽引役として進んできたとされるが、現状、システムにいてI/Oがそのボトルネックとなってしまっているというものだ。要するにハードディスク装置のスピードアップがボトルネックになっているという話題だが、ここでPerlmutter氏は、Intelが32GBから120GBまでのSSDのラインナップを今年中に投入していく計画を発表。Montevinaで同SSDを採用する具体的な利点を実機デモンストレーションを交えながら紹介した。
デモンストレーションは、MontevinaプラットフォームにSSDを搭載することで、CPUやGPUのパフォーマンスをより向上させられるというもの。高性能なCPUを搭載するだけ、もしくはSSDを搭載するだけ、というシステムではボトルネックが生まれてしまうが、「SSDを搭載することで、ボトルネックを排したCPUの本来の高い性能も引き出すことができる」(Perlmutter氏)。
セキュリティに関しても機能拡張が行われる。Centrino 2ではいくつかのvPro機能の強化が施されているとされ、そのひとつとして「Anti-Theft Technology」と呼ばれるPCの盗難・紛失対策の機能が紹介された。基調講演のテーマである"パーソナル化"に相応しく、企業の管理者のみならず個人ユーザーにとって利点の多いvPro機能とのことで、同機能ではPCが盗難された際などに中身のデータを保護する仕組みなどが提供される。
Montevinaの最後に紹介されたのが、小型パッケージの投入である。現行のCentrinoでも、MacBook AirやThinkPad X300向けなどに採用されていることで知られる小型パッケージのCPU/チップセットが存在するが、Montevina世代でも同様の小型パッケージが投入される計画だ。
また、現行Santa RosaではCPUに通常で35W、LVで17W、ULVで10WというTDPが設定されているが、ここに25Wのラインナップを追加することも発表。Perlmutter氏は講演を通して、コンピュータのパーソナル化にとってスタイリッシュなデザインは必要不可欠だと説明している。小型サイズならびに低TDPのチップ・ラインナップを拡充することで、MacBook AirやThinkPad X300などに続くような、"Light・Thin・Stylish"なノートブックの登場を促す考えだ。
2009年のモバイルプラットフォーム「Calpella」
Perlmutter氏の基調講演の最後に用意されていたのが、Nehalemベースで2009年に登場するというモバイルプラットフォーム「Calpella」のお披露目だ。さすがに現時点では、それほど詳細な内容が語られたわけではなかったが、Calpellaで導入される新たなパワーマネージメント機能が一部公開されている。Wi-Fiモジュールそのものの消費電力を大きく抑えることが可能というもので、実際にWi-Fiを使って動画サイトを閲覧中に、同マネージメント機能をON/OFFした際のそれぞれの消費電力を比較するという実機デモンストレーションが行われている。