フランス食品振興会はこのほど、東京・恵比寿のウエスティンホテル東京にてブルゴーニュワインのセミナーと試飲会を開催した。今回で8回目の開催となり、セミナーでは主に、料理とのマリアージュについての解説がなされた。
セミナーではソムリエの渋谷康弘さん、ブルゴーニュワイン事務局広報委員会副会長のアンヌ・パランさん、同事務局のネリー・ブロー・ピカールさんが講師となった。ワインというとどうしてもウンチクが長くなり、気軽に選んで楽しめるというイメージがまだまだないのではないだろうか。しかし今回、渋谷さんによって家庭でもつくることができる料理とのマリアージュが提案され、ブルゴーニュワインがわかりやすいように説明された。
ブルゴーニュワインは、細かく区分けされたぶどう畑の環境や造り手によって味が決まるといわれ、一括りにできない多様性が特徴とされてきた。渋谷さんによると、「ブルゴーニュ地方のぶどう畑の面積は、フランス全土の2.5~3%でありながら、フランス国内のアペラシオン(産地として特別に管理されている地域。特級畑のグラン・クリュなど)400のうち100がブルゴーニュにある」とのことだ。この数字を見れば、ブルゴーニュがワインの生産地としてどれだけ重要な地域であるかがおわかりいただけるだろう。また、「ブルゴーニュはピノ・ノワールやシャルドネといったぶどう品種が誕生した土地」(アンヌ・パランさん)であり、かの有名なボージョレ・ヌーヴォーを出荷するボージョレ地区もある。
312年にはすでにぶどう栽培開始
ブルゴーニュでのぶどう栽培はすでに312年に行われていたという記録が残っている。修道士によってぶどう栽培が広められ、1416年にはシャルル6世によってAO(産地呼称統制)の先駆けとなる生産規則(畑の区分け)が定められる。そして1789年、フランス革命によりぶどう畑が解体され、細分化されていった。
ブルゴーニュのぶどうといえば先にも挙げたピノ・ノワールとシャルドネ、そしてボージョレ・ヌーヴォーに使われるガメイなどが有名だ。フランスワインといえばボルドーも有名だが、ブルゴーニュワインはボルドーワインと好対照である。ボルドーが様々なぶどう品種をブレンドしてワインを造るのに対して、ブルゴーニュではぶどう品種は原則として1種類しか使わない。
それなのに、味のタイプは細かく区分けされた畑や生産者によって千差万別であるといわれている。「では、畑の環境や生産者を知らないとブルゴーニュワインを楽しめないのか」と聞かれれば、答えは「No」である。そんな心配はない。セミナーにて、渋谷さんがブルゴーニュワインと料理の組み合わせ方にについてを教えてくれたからだ。方法としては、大別して2つある。1つはワインのランクをもとに、料理を選ぶ方法である。価格の高低、地域の南北という2つの軸で白ワイン・赤ワインに合う素材や調理方法を見つけていく。
赤ワインを例に見てみよう。コート・ドールをはじめとする北の地域のワインなら、安いものには鰤、鰹、サーモンのような赤身の魚料理。対して特級畑(グラン・クリュ)などの高いものには赤身の肉料理。マコネやシャロネーズといった南の地域のワインなら、安いものにはピッツァのようにフランクに食べられる料理。高いものには家禽類や豚などの白身肉のローストなど、といった具合だ。基本的に、低価格のワインには気軽でカジュアルな料理、高いワインにはリッチな料理を合わせる。