増え続けるPCの消費電力へのアンチテーゼか、電力効率に優れたモバイルCPUをデスクトップで使ってしまおうというのが、いわゆる"MoDT"(Mobile on Desktop)製品。ただ、MoDTが一世を風靡した一昔前に比べると、デスクトップCPUの電力効率が大分改善してきている現状もあり、最近は今ひとつ勢いがなくなったようにも感じる。

MoDTならというATX系のマザーボードこそ無いものの、しかしながら、より省電力で、でもってサイズは小さくて、しかも最新の性能も持つデスクトップパソコンを自作したいな……、と考えている読者の皆様にはご安心をいただきたい。こちらの記事で紹介した「DQ45EK」をはじめ、特に今年のCeBITはMini-ITXクラスの小型マザーボードが非常に充実しているのだ。各社の出展状況を見る限り、2008年の小型PC自作は楽しい製品が盛りだくさんの気配である。

最新チップセット搭載で2系統DVIを持つIntel純正Mini-ITX「DQ45EK」

FoxconnはQ35チップセット搭載のMini-ITX「ADE-6061」。このように今年は小型マザーが、中でもIntelチップセットを搭載する製品が豊富

未発表の「Intel GM45」を搭載

先日、CeBITの開幕にあわせてIntelが発表した「Montevina」(開発コードネーム)こと「Centrino 2」プラットフォーム。そのCentrino 2を構成するチップセットである「Cantiga(開発コードネーム)」だが、搭載ノートPCの発売を待たずして、早速このCantigaを搭載するMini-ITXマザーボードが登場してしまっている。

Cantigaと言えばCentrino 2のチップセット。Mobile Penrynだって使えてしまうのだ

MSIはIPC向けとして「MS-9818」を出展。ソケットは従来の479ピン互換で、サポートCPUには当然Mobile Penrynこと45nmのCore 2 Duo Tシリーズが含まれている。搭載チップセットは「Intel Cantiga+ICH9M」と紹介されているが、グラフィックス機能を内蔵するそうで、"GM"型番などに相当する統合チップセットモデルだと考えられる。最大の特徴は、このグラフィックス機能がDirextX 10をサポートしている点で、しかもバックパネル部の出力端子もD-Sub、DVI、HDMIと豊富だ。またGigabitEthernetを2系統、6Wアンプ付きの7.1chオーディオも備えており、幅広い用途が想定できる。

MSIの「MS-9818」。メモリはDDR2 667/800のSO-DIMMを利用可能。なお、電源は通常のATX電源に対応している

バックパネル部。グラフィックス出力の充実ぶりが目を引く。これで内蔵グラフィックスのパフォーマンスがよければ言うこと無しだが……

JETWAYも同じくCantiga搭載のMini-ITXマザーボード「J9F10」を出展。ちなみに、搭載チップセットは"Intel GM45+ICH9M"として紹介されていた。ブース担当者によれば、この「Intel GM45」というのがCantigaのGMモデルの正式な製品名称なのだそうだ。

これまでに聞いていた情報などから、筆者はCantigaはIntel 3シリーズのモバイル版と勝手に思い込んでいたのだが、どうやら間違いだったようだ。ただ、ではIntel 4シリーズ世代なのかというと、組み合わせるICHが"9"止まりなのが気になったりする。ベースはIntel 3シリーズで、名称はマーケティングの都合、という可能性も……。ただ、JETWAYのブース担当者によれば、GM45にはBlu-RayやHD-DVDといったHDコンテンツのデコード機能が搭載されているとされる。

JETWAYの「J9F10」。FSB1066をサポートし、メモリはDDR2 667/800のSO-DIMMを2スロット。DVIとD-Sub出力を備える

GM45+ICH9M搭載でMini-ITXよりもさらに小型な組み込みボードも出展していた。各種I/Oを備える別ボードと組み合わせることが可能

J9F10をMini-ITX規格のケースに内蔵しての展示

なお、モノがモノなのでどの製品も価格は未定で、発売日や、リテール向けの販売があるのかも明確ではないが、J9F10に関しては6月の発売予定だそうだ。