気持ちよく撮影できるシャッター
よく言われることだが、ニコンのトップモデルのシャッターは例えようもなく気持ちいい。決して静かなわけではないが、高精度の機械が正しく動き、まったくムダなことをしていない。それだけなのに妙に官能的なのだ。
ボタン類も節度があっていい。記録メディア(コンパクトフラッシュ)のスロットのフタはいつものニコン方式だが、絶対に間違って開けることがなく、なおかつスムーズに開けられる秀逸なもの。シャッターを始め、ニコンがこういった機械部分を本気で作ると、凄ささえ感じる。
ボディは大きく重い。プロ機としては当たり前のサイズと重さだが、素人にはやっぱり重い。プロカメラマン、特にスポーツ系カメラマンの腕は、例外なく太く、がっしりしている。あの腕がないとコイツと望遠レンズを1日振り回すのは無理なのだろう。
ファインダーは広くて見やすい。個人的に、デジタルカメラはAPS-Cでもぜんぜんかまわないと思っているが、このファインダーだけは35mm判フルサイズの特権だ。気持ちよく広い。広すぎて周辺は改めて注視しないと見落としがあるほど。液晶モニターも92万画素で見やすい。
"押しながら回す"操作系は正しい
ボタン類の配置はD2系に近いもの。ニコンでも相当検討したようだが、結局のところ従来機からのユーザーを重視したということらしい。しかし違いを極論すれば左肩のボタンに持たせる機能と、画像の拡大方法に尽きるのではないか。左肩のボタンを見ると、D3は「BKT」「フラッシュ」「コマンドロック」が並んでいるが、D300は「QUAL「WB」「ISO」となる。いっそのこと、カスタマイズで変更できるようにできないものだろうか。
画像の拡大方法は、D300のようなボタン連打ではなく、[拡大]ボタン+ダイヤル方式をとる。個人的に、左肩のボタン配置はD300のほうが好みだが、拡大方法はD3方式のほうが使いやすいと思う。もともとニコンの「押す+回す」方式は慣れるととても早く操作でき、間違いも少ない優れた方式だ。従来機で拡大方法が不評だったのは、別のボタンを押してから「押す+回す」をしなければならないためだろう。別ボタンが不要になったD3はとても使いやすい。ただ、元のサイズ(全体表示)に戻す際に、またボタン+ダイヤルで操作するのはどうか。ボタンひとつで戻るようにしてほしいところだ。
理解しやすいが、階層が深すぎるメニュー
メニューは左のグループから右の項目を選び、右へ右へと進むと決定されるいつものニコン方式。これはいいのだが、従来以上にメニューが深く感じた。たとえばふたつに分かれてさらにその先でオン/オフを切り換えるだけなら、上のレベルに全部並べたほうがいいのではないか。
背面の液晶モニターに撮影情報が表示されるようになった。たとえば「AFエリアモード」の51点もある測距点が、わかりやすくキレイに表示される。これはとてもいい。ただ、全体ではまだまだ及び腰に見える。表示される情報は上面表示パネルとほぼ同じ。ISO感度やホワイトバランスは下の背面表示パネル(モノクロの液晶)に表示されるためか、モニターには表示されない。
なにより使いづらいのは、「info」ボタンを押さないと表示されないこと。シャッター半押しで消灯するのは当然として、撮影が終わってもそのままでは情報表示されず、再度ボタンを押さないといけない。これではちょっと使えない。表示パネルと液晶モニターでは見やすさがぜんぜん違うのだから、情報がダブってもいいから、全力で液晶モニターに表示してほしい。
ユニークなのは、まわりの明るさに応じて表示が反転すること。明るいところでは白地に黒文字、暗いところでは黒地に明るさを抑えた白文字表示に切り替わる。これはとても実戦的で使いやすい。どちらかの表示に固定することもできる