同社の反撃の効果は、さまざまな指標にも少しずつ表れ始めている。2006年度通期の解約率は0.78%だったが、MNPが開始した、2006年度第四半期には0.93%に、同第4四半期には0.97%にまで上り、2007年度は第3四半期までの累計では0.85%だ。しかし、この第3四半期には0.74%に下がった。また、純増シェアは今年度は第3四半期まで3位で、第1-3四半期累計も14.7%(2006年度通期は30.0%)だが、やはり今第3四半期には18.9%に上昇、2007年12月は26%だった。
905iシリーズは同社の思惑通りに推移しているようだ。中村社長は「905iには、考えられる要素をほとんどすべて標準搭載できたことの意味は大きかった。(現行のFOMAである)第3世代携帯電話機にはかなり苦労した。登場させてから5、6年になるが、(筐体を)小さく、薄くするのはたいへんだったが、(第3世代携帯電話機の)つくり方は大体わかった。第2世代機で可能だった小ささ、薄さ、軽さや機能も実現できるようになった。第3世代の端末も完成形に近づいた」と語り、自信を示した。同社の累計契約数は2007年12月末現在で5,315万だが、そのうちFOMAの比率は79.2%に達しており、今年度末には82.2%と見込まれている。
同社の巻き返しが本格的に始まったわけだが、いまや純増シェア首位のソフトバンクも手を拱いてはいない。新入学の時期にあたり、年間で最も大きいといわれる春商戦を見据え、小学校から大学、専門学校までの学生の「ホワイトプラン」基本料金を3年間無料にする「ホワイト学割」をぶつけてくる。これに対し中村社長は「『ホワイト学割』は期間限定というのはすっきりしないが、それなりのインパクトはあると覚悟している」と述べた。ドコモも2月9日から4月13日まで、22歳以下の顧客とその家族向けに、新規契約、契約変更、機種変更、MNPによる移行で、バリューコースで905i、705iなどの対象機種を購入した場合、購入代から最大で1万500円のキャッシュバックを行う「START!DoCoMoキャンペーン」を実施する。
今年の携帯電話市場は春商戦をはじめ、例年にも増して激しいものになることが予想されるが、同社はかねがね「携帯電話は、ネットワーク、サービス、料金、端末の総合力が重要になる。これらのうち、どれか一つが弱くなってもだめだ」(中村社長)との姿勢を示している。この基本原理を踏まえた上で、今回も「常に新しいものを追い求めていく」(同)とする。「新しいもの」がどのようなものになるのかはわからないが、中村社長は「世界に通用するベースをもって、そこにiモードなどの機能を載せる、というように設計の発想を変える。そのようなシナリオはもっている」と述べた。