日本ヒューレット・パッカード 金融営業統括本部 第一営業本部 小林玲子氏 |
同社金融営業統括本部 第一営業本部に勤務する小林玲子氏は、週1日を目安にこの制度を活用しているひとりだ。彼女の部署においては、頻度はそれぞれの状況に応じて異なるものの、部内の9名ほぼ全員がこの制度を活用しているという。
小林氏は「この制度は社員に対する会社の信頼の下に成り立つ制度。日本HPにはもともと社員を信頼する文化がある。しかし、日ごろから上司とフランクに話せる環境があるものの、(本制度が)始まる前はコミュニケーションが少なくなり、その信頼関係が維持できなくなるのではないか、という不安もあった。しかし、週1日ぐらいの在宅勤務でコミュニケーションが不足するようなことはなく、そういう意味ではとくに何も変わらなかった」と、その実情を語る。
日本HPがこうした制度を他社に先駆けて実現できる理由には社員への信頼のほかに、パフォーマンスで社員を評価する社風が徹底されていることも挙げられる。加えて世界1、2を争うITベンダがもつ豊富なインフラをベースにできる点も大きい。同社の有給休暇取得率は7割、育児休暇後の同社社員の復職率はほぼ100%に上るといい、この数字は一般的な水準よりもかなり高いレベルを誇る。ゆえに「在宅勤務が査定に影響を及ぼすことはいっさいない」と松村氏は言い切る。しかし、「マネージャの育児支援に対する考え方はまだ不十分。すべてのマネージャが同じ水準で理解してほしい」と述べ、社員のワークライフバランスを保ち、有能な人材を維持し続けるための課題として、今後も社員へのさらなる啓発活動が必要であるとした。
「さまざまな人事制度があっても、活用されなければ意味がない」と言われる。松村氏は「今後、この制度がフレックスタイムのように広く活用されることを期待している」という。「(在宅勤務の許可を)取りやすいというのが非常に魅力的。困ることと言えば、自宅で仕事をするときはあまり身なりにかまわなくなることくらいでしょうか(笑)」(小林氏) |