ワンセグ対応端末に力を入れているauは、新機種ではさらに映像関連機能も強化。世界で初めてという3.0型フルワイドQVGA有機ELディスプレイ採用の「W61SA」を始め、色鮮やかな有機ELディスプレイ搭載モデルと高解像度のワイドVGA搭載端末を追加した。同日、auのあとに開催されたソフトバンクモバイルの新製品発表会では、孫正義社長がauに対抗してソフトバンクの方が有機ELのラインナップが多く、GSM対応である点を強調していたが、au側も「有機ELは絶対に負けない」(同)と強い自信を示す。
さらに新サービスとして「LISMO Video」を今春より開始することが明らかにされた。映画や海外のテレビドラマ、アニメなどの番組をダウンロード配信するというサービスで、これまではミュージッククリップを配信していたが、新たに映像コンテンツを拡充させる。LISMO Videoに関してはまた別途正式に発表される予定だ。
「動画を2000年からこだわり続けたauの集大成」と高橋氏。有機ELは30フレームの映像でこそ生きるということで、フレームレート30fpsのLISMO Videoが「差別化のポイントであり、有機ELを生かす最大限の特徴」(同)になるという。
合計6機種となるKCP+端末では、待受画面にミニアプリを常駐させるau oneガジェットを提供。6種類のガジェットがプリインストールされ、さらに8種類がダウンロード提供される。今後これをさらに増やしていく予定だ。また、各種機能やアプリを同時に2画面に表示するマルチプレイウィンドウに対応。91通りという幅広い2画面の組み合わせができる点が売りだ。また、3Dの描画性能が従来比10倍以上にアップしたことで、ゲームの表現力がさらに向上している。
新サービスとなる「カメラでケンサク!ERサーチ」。カメラで読み取ったワインのラベル、CDジャケット、通販カタログの画像の特徴を分析し、ワインの販売ページへアクセスできるなど、新しいネットとリアルを融合させた検索サービス。ワイン3,000種以上、音楽CD10万枚といったデータを備え、今後データを増やし、検索対象も拡大させていく考え |
また、auとしては初めて通信方式でGSMをサポート。GSMは日本と韓国を除くほぼ全世界で利用されている第2世代の通信方式だが、auはこれが利用できなかったため、国際ローミングでは他社に遅れていた。今回、新たにGSMを標準でサポートした機種を用意したことで、「ドコモに唯一負けていたローミングの問題も解決した」(高橋氏)と強調する。とはいえ、今回はハイエンド端末ではない「W62S」1機種だけ。今後さらに「ある範囲でラインナップをそろえていく」(小野寺正社長)予定で、将来的にはKCP+端末でもGSM対応端末が登場する見込みだ。
気象庁による緊急地震速報の配信もサポート |
一部端末に搭載された「フェイク着信」。着信ボタン長押しで着信音が鳴り、電話がかかってきたような演技ができる。夜道などで一人歩きが不安な場合に電話をしているフリができる |
auでは、単なる携帯事業者から「コンシューマーサービスを提供するキャリア(携帯事業者)」(高橋氏)になることを目指す。単純にサービスを投入するのではなく、新たなスタイルを提案するような、「生活に寄り添って成長するプラットフォームになりたい」(同)というのが目標だ。
このプラットフォームを高橋氏は「垣根のない庭」と表現。新たなスローガン「auの庭で」とともに、従来通りの女優の仲間由紀恵さんと、新たにアイドルグループの嵐を起用した新テレビCMを放映する。
高橋氏は、携帯電話の使われ方について「利用シーンが多様化する時代になる」と話し、さまざまなユーザーに対応できる端末を用意したとの考えを示す。料金体系についても、小野寺社長がソフトバンクの「ホワイト学割」に対抗した割引キャンペーンを実施する意向を明らかにしている。