大人計画の"主砲"が初主演作に選んだ『全然大丈夫』
この人の顔ほど、一目見たら忘れられないものはないだろう。人気劇団「大人計画」に所属し、ドラマ、映画、CMに引っ張りだこの役者、荒川良々その人である。2008年1月26日に公開される主演映画『全然大丈夫』を撮り終えた彼に心境を伺おうと思い取材に向かったのだが、その不可思議な存在感に引き寄せらるようにインタビューは始まった。
――長編の商業映画では初の主演ですよね。これまでの作品とは、作品に対する思いや意気込みも違ったのでは?
「まったく変わらないです。ただ、長くちょっと多めに出ている感じですね。主演というと座長のような存在だと思うんですけど、周りに「大丈夫?」みたいに気を遣いすぎたり、肩に力を入れすぎていた感じもなかったですね」
――荒川さんが出演作を選ぶ基準に、作品の規模や役の大きさは関係ないんですね
「僕はまったくないですね。事務所から報告を受けて、「ハイ」っていうだけで。ポリシーがあって、というわけでもなく。どうしてもスケジュールが合わないときはお断りしているんでしょうけど、出られるときはお受けしているんじゃないでしょうか。まだ、僕は選べるような立場じゃない。とりあえず今は、共演者にどんな面白い方がいるかわからないので、色々な作品に出演してみたいです」
共演者としての木村佳乃と岡田義徳
――今作でも素敵な共演者に恵まれましたよね
「岡田義徳さんも木村佳乃さんも、共演するのは初めてだったんですよ。お会いしたことはあったんですけど。でも、すごくやりやすくて。いっしょにいるときに無言になるのが耐えられなくて、無理して話さなきゃって思う場合があるじゃないですか。岡田さんにはまったくそういうのがなく、控え室で2時間とかいっしょになっても沈黙だったら沈黙のままずっといられるような感じでしたね。持ってる雰囲気が僕と似てたと思うんです。大人計画の舞台の稽古中の雰囲気とも似てたかな。大人計画もそんなにワーワー喋らないんですよ。だから、岡田さんとのシーンでは、芝居もなんとなくその延長線上で。藤田容介監督からも『力抜いてリラックスしてください』って言われることが多かったです」
――木村さんにはどういう印象を持ちました?
「すごく華やかな見た目ですよね。ずっと喋っているのを僕と岡田君は聞いて頷いていて。サバサバした方ですから、座長みたいでした」