今回スタートするディズニー・モバイルは、イー・モバイルの携帯電話事業参入のように、周波数の割り当てを受けて一からシステムやネットワークを構築するものとは異なり、さらに回線を借り受けて事業を行うMVNO(仮想移動体通信事業者)とも異なるというもの。キャンドランド社長は繰り返し「ソフトバンクとのコラボレーション」という言い方をしているが、表現はともかくとして、ソフトバンクとは利用者の利用料金ベースで回線やシステムを借り受ける契約になっているようだ。
米国ではDisneyブランドの携帯電話事業をMVNO方式で提供してきたが、こちらはすでに終了している。これに対してキャンドランド社長は、ディズニー・モバイルではMVNO方式を採用せず、ソフトバンクと協力する形で事業を展開。さらにこれまで日本で携帯コンテンツを提供してきたノウハウの蓄積があるとして、米国とはビジネスモデルが異なるとの考えを示した。
キャンドランド社長自身は「NTTドコモやau、ソフトバンクといった既存の携帯事業者は目指さない」とは言うものの、扱いとしてはれっきとした「携帯事業者」となり、利用するためにはソフトバンクではなくディズニー・モバイルに加入契約が必要となる。
顧客情報はソフトバンクとは分離しており、他事業者から携帯を乗り換える場合は解約・新規契約という形になるほか、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)で従来の番号を変更せずに乗り換えることも可能。
顧客情報は分離しているものの、ホワイトプランやホワイト家族24を利用するためには、ソフトバンクとディズニー・モバイル双方で契約情報が確認できなければならず、一部の顧客情報はお互いに確認できるようになっているようだ。そのため、実際の加入契約ではディズニー・モバイルとの契約に加え、ソフトバンクとの契約も必要になる見込み。さらに、ソフトバンクの既存ユーザーに対しても同様の仕組みが必要のため、同社ではユーザーへの告知と約款の変更を行う計画だという。
いずれにしても、ディズニー・モバイルはこれまでとは異なる新しい携帯事業の1つといえる。ソフトバンクの孫正義社長は「これからの携帯は、単にハード的な機能を争うのではなく、それに加えてソフトウェアの部分でより深い感動、より深い愛着を日常のライフスタイルに取り入れていくような工夫」という点を強調。
ディズニー・モバイルの責任者となるデービッド・ミルスタイン氏によれば、数千人の女性に調査を行い、特に「(disney.ne.jpという)新しいドメインとディズニーならではの絵文字が魅力」として挙げられたそうで、「これがディズニー・モバイルの1つの成功の鍵。ディズニーが提案する、ディズニーならでは部分が喜んでもらえると確信している」と話し、「どこにもなかった、ディズニーならではの携帯サービス」と自信を示している。
「スイッチを入れた瞬間から手のひらから広がる夢と魔法の世界へつながる携帯サービス」(ミルスタイン氏)。