「骨折したくない! 」の一心で真剣に説明を聞く私(写真奥)と編集T(写真手前)

ブーツを履いた私と編集T。まず、非常に歩きにくい。階段の上り下りだけでゼェゼェと息が切れ、これから先が思いやられる。必死で村松氏の後をついていき、ゲレンデに出ると、早速LTRプログラム開始。ボードの構造に関する解説を聞いた後は準備体操をし、その後、転び方のレクチャーを受ける。そして、早速スケーティングに挑戦……するも、この時点でかなり難しい。ボードは先へ先へと滑っていくのに、もう片方の足はついて行かないわで身体能力の限界を超える角度で開脚してしまう。明日は絶対筋肉痛だな……。

村松氏の指示通りの方向へ進んでいくと、目の前にはリフト乗り場が。ここで開始から約20分。予想以上の急展開である。「いきなり乗るんですかぁ~」とうろたえる私たちに関係なく、乗車の順番が近づいてくる。停止線でスタンバイし、「はいっ、前に進みましょう!!」という村松氏の合図と共に乗車線まで前進。すると突然、それまで順調にスケーティングしていた編集Tが転倒。「焦らないで! 」という村松氏の声も虚しく、編集Tの転倒を目の当たりにした私も軽くパニック状態に陥る。

編集Tに遅れる私。気が付けば目の前にリフト乗り場が……

しかし、さすが村松氏。訳のわからぬままただ焦りまくる私たちをしっかりと冷静にフォローし、気が付けば自力でストンとリフトに座っていた。「おぉ~、乗っちゃったよ~」と安心するも、次はリフトから降りなければいけないのである。村松氏の事前の説明によると、降車位置からはバインディングに固定していない足もボードに乗せ、ゆるやかな斜面を滑りながらリフトから降りていくのだという。

不安でいっぱいの私たちを乗せて、リフトは降車場に近づいていく

いきなり両足、ボードの上ですか……。案の定、リフトから降りた時点で2人とも転倒。周囲を見ると他にも転倒組がチラホラいて、少し安心するが、後から来る人のために必死に立ち上がり、スケーティングで少し離れたところまで移動する。

リフト降車場にて、転倒5秒前の2人

ここで、いよいよもう片方の足もバインディングに固定。そして立ち上がる練習を行う。1回でスクッと立ち上がった編集Tとは異なり、私は何度も尻餅をつく。村松氏の支えでようやく立ち上がったものの、不安定さから手足がガクガクと震え、まるで生まれたての小鹿状態。周囲のライダーに笑われつつ、次はサイドスリップの練習。編集Tはツツツーッと順調に滑っていく。

立ち上がろうと踏ん張る編集T。その後……

見事、1回で立ち上がる。村松氏も笑顔

私たちは今回、つま先を上げてのサイドスリップにチャレンジ。つま先を上げる角度によってスピードをコントロールすることができるのだが、私は当初、このコントロールができず、立ち上がって数十cm進んでは尻餅の繰り返し。「もうやだぁ~」と雪面で大の字になる私を尻目にどんどん進んでいく編集T。

尻餅の連続で戦意喪失気味……

「前を見る」ことで一気に上達

しかしここで転機が訪れる。村松氏が何度も言っていた「足下を見てはいけない。前方を見るように! 」の言葉。これを思い出し、遥か前方にいる他のライダーたちを眺めながら滑り出すと、不思議なことに転倒することなく数十mも進むことができた。「今の、見てた!?」とばかりに後方にいる村松氏を振り返って見ると、ニコニコとしながら「すごいねー!!」と褒めてくれる。うん、こうやって滑ることができると一気に楽しくなってくる。

そして再びリフトに乗車。一度乗ってしまえば、リフトもどうってことはない。あんなに「怖い、怖い」と泣き叫んでいた前回が嘘のように、周りの景色を見る余裕すら出てきた。「もしかしたら、スノボって楽しいかも……」。

今度もサイドスリップで滑っていくだけかと思って余裕モードに入っていた私たちであったが、最終課題であるターンの存在をすっかり忘れていた。ターンとはその名の通り方向転換のことで、確かにこれをマスターしなければ、ただひたすらにサイドスリップで滑ることしかできないわけで。村松氏に言われるがまま、まずは斜面を後ろ向きに立ち上がる。この時点で、正直非常に怖い。進行方向とは逆に立っているので当然といえば当然だろう。

そのまま少しの距離を滑った後、進行方向とは逆の方向にグイッと振り返るとボードもついてきて、めでたくターンができるのだ。このように説明をするのは簡単だが、実際に行うのは……意外に簡単だった。予想以上にすんなりとターンができ、何度もターンを繰り返す私。風を感じながら滑る心地よさ! この感覚、クセになる!! 「またやりたい! 」と心の底から思った。まさかこの年齢になって、スノーボードにハマるとは思ってもいなかったが、「いい趣味を見つけた」と嬉しくなった。

スキーのようにストックがない分、自分の体で方向をコントロールしなければいけないが、逆にそれがスノーボードの面白さのように感じた

プログラムが終わり、雪まみれのボード。キミのおかげで滑ることができたよ、ありがとう

たった90分のプログラムで、リフト乗降ができ、さらにはターンまでできるようになった。ここまでできれば、あとはなんとか自分たちでスノーボードを楽しむことができる。帰りのBURTON SNOWBOARDING BUSの中で、「今度さ、一緒にスノボに行ってみようよ」と編集Tを誘うと、彼女も乗り気。今シーズン中に早速行こうと盛り上がった。

読者の皆さんもぜひこの機会に、スノーボードに挑戦してみてはいかがだろうか。BURTON SNOWBOARDING BUSは3月中旬まで運行中(詳細はこちら)なので、利用するのもオススメだ。