「Graphics」

最後はグラフィックスである。NVIDIA/ATI共に、DirectX 10のSM4.0に対応した製品を投入しており、いい感じに混戦模様になってきている。特にNVIDIAは、相変わらず狂ったように多数の製品を投入してきており、ぱっと見ただけでは型番と製品のパフォーマンスの関係がわからないほど。更に、途中から別プロセスの製品を同じ型番で投入したりしているために、完全に「何がなんだか」といった趣になっている。

対するAMD、2006年はNVIDIAに負けじとばかりに製品を増やして、こちらも訳が判らなくなっていたが、RADEON HD世代から製品の整理を始めてくれたお陰で、だいぶ見通しが良くなったのはちょっと助かるところ。製品のトップパフォーマンスという観点ではNVIDIAに一歩劣るものの、価格性能比の点でNVIDIAに十分対抗できる製品を揃える、という形で勝負を掛けており、このあたりはまだまだ競争が激化しそうである。

NVIDIA

まずはそのNVIDIAについて。

表21 : ロードマップ

表22 : 製品仕様

TSMCの90nmプロセスを使ったGeForce 8000ファミリーは、ハイエンドのG80、ミドルレンジのG84、バリュー向けのG86というセグメント分けがなされ、この中でシェーダーやコアの動作周波数、メモリ構成などを変更することで製品ラインナップを展開していったが、ここに65nmプロセスのG92コアを同じ名前で投入してしまったために、かなり訳が判らなくなってしまった。結局GeForce 9000ファミリーの名前は、2月ころに予定されているG96コアのGeForce 9600からという事になりそうだ。一方ハイエンドは、第2四半期末と言われているが、実際には第3四半期にずれそうな雰囲気満点のG100からという形になりそうだ。このG100、引き続きTSMCの65nmプロセスを使うという話と、TSMCの55nmに移行するという話の両方が聞こえてくるが、そもそもシェーダーの構成などが全然わからないままプロセスだけを論じても仕方が無い気がする。基本的には現在のG80の構造を大きくは変えないらしいが、GPGPUとしての利用も踏まえて、倍精度の浮動小数点演算をサポートするという話が出ている。

このG100に先立ち、GeForce 7950 GX2などと同じように1枚のボードに2つのGPUを搭載した製品が投入されるのは間違いなさそうである。問題はここで、

  • G92コアを2つ搭載したGeForce 8800 GX2:1月に投入。
  • G96コアを2つ搭載したGeForce 9800 GX2:2月に投入。

という2つの話が出ていること。いくらなんでも両方はないだろうと思える。筆者としては、G96×2では合計してもシェーダーが128なので、最大でもG92相当にしかならないことを考えると、GeForce 8800 GX2の案を押したいところだが、消費電力的にかなり厳しい事を考えるとGeForce 9800 GX2の方が現実的な気もする。両方出たら、それはそれでものすごい話ではあるのだが。

問題は、バリュー向けの新コアの話が聞こえてこないこと。G84/G86共に、2008年の上半期までに生産を終了すると言われており、この頃までに65nmプロセスベースで16~32程度のシェーダーを持つ製品が投入されないとおかしい。表21には便宜上G94と記してあるが、何かしら製品が投入されると考えても不思議ではないだろう。