頻繁に変わったイメージキャラクター

楊氏が自ら認めたように、対外的に企業イメージを宣伝する統一的なテーマ、シンボルがなく、それがブランドイメージのあいまいさにつながっている、というのが、中国国内で長らく聯想のブランド戦略に対して向けられた批判の声だった。

事実、1984年の創業以来、聯想は今日まで多くのブランドスローガンを打ち出してきた。「人類が聯想を失ったら、世界はどのようになるか」「聯想が貴方に近づけば、科学技術も貴方に近づく」「聯想は無限の自由」、そして、今回の「If You Want」だ。

これらのキャッチコピーは、いずれも聯想のそれぞれの発展段階を象徴するものだが、イメージキャラクターもまた頻繁に変わってきた。2002年の日韓共催サッカーワールドカップの期間中は、ゴリラを使った広告を使って、聯想のコンピュータの「使いやすさ」をアピールした。

その後は、中国の若手人気女優である章子怡(チャン・ツイー)を起用、ファッショナブルなイメージを打ち出した。また、若年層への浸透を図るため、台湾の四人組歌手グループのF4を起用したり、インターネットブームが起こるとすぐ、デジタル製品の専門サイトである「FM365」を立ち上げたりした。

その後も、香港を中心に活躍する俳優、歌手である謝霆鋒(ニコラス・ツェー)が出演するサスペンスストーリー調CF「ネットワークでめぐりあい」も登場し、一連の広告によって一体何を消費者に訴えかけたいのかが判然としない状況となってしまった。

携帯電話事業のブランド戦略も不明確

上記のように、聯想は自らの企業ブランドについて、これまで明確で一貫した管理を行ってこなかった。「聯想はどういう会社か?」という問いに、聯想の製品を買ったことのある消費者は恐らく「有名なコンピュータメーカー」と答えるのではないだろうか。だとすれば、これまで聯想が国内外で投入してきた何百万元、何千万元という宣伝広告費は何だったのか、という疑問がわいてくる。

また、携帯電話事業のブランド戦略を見ても、残念なことに、「聯想の携帯電話で、夢を実現しよう」というコピーが意味するところは明確ではない。パソコン事業のキャッチコピーである「If You Want」との連携がほとんどなされていないからである。

聯想がこれまでのような販促キャンペーンをやみくもに続けるのなら、彼らが望む本当の成功にたどりつくのはきわめて困難だ。ThinkPadとIBM、VAIOとSonyのように、聯想の携帯電話にも強力なサブブランドが必要なのだ。そうして初めて、聯想の携帯電話事業は本質的な発展を遂げることができる。