ステークホルダに対する位置付け

IT関連の従事者にとって、どのような人たちと仕事をするのかということは重要な要素になります。一般的にITエンジニアというと、自分の担当技術分野に対して理解のある職種の人たちと、やり取りをしながら仕事を進めて行くと言えます。

たとえば、あるコンポーネントの開発者であれば、

  1. コンポーネントの詳細な要件に関してシステム発注企業の情報システム部門担当者と調整
  2. 工程に関してプロジェクトマネージャへ報告
  3. 外部インタフェースに関して他開発チームと交渉
  4. 実際の設計内容に関しては、チームリーダやチームメンバと検討
  5. レビュー実施
  6. システム運用担当者に注意事項を申し送る

といった作業になります。ある意味、技術者どうし共通認識を持つ立場の人たちと作業を進めていくこととなります。

一方、ITアーキテクトはバックグラウンドの異なるさまざまな立場の人たちと作業を進めていく必要があります。まず、ビジネスのプロフェッショナルであるコンサルタントと協力してビジネス戦略の実現可能性を検討する必要があります。その結果、作成されたビジネス戦略の技術的根拠をCIO/CEO/COOといった経営者層へ説明する場合もあります。

次に、ビジネス戦略をもとにシステム構成、アーキテクチャを設計し、プロジェクトマネージャと共にプロジェクト計画を作成する必要があります。システムを構成する技術(ネットワークやセキュリティなど)のスペシャリストとの調整を行い、業務コンポーネント開発部隊へアーキテクチャ説明等を行う必要があります。

このように、ITをよく知らない関係者から、コアでディープなIT専門家まで、さまざまなIT知識レベルの人たちとコミュニケーションする必要があります。つまり、ITアーキテクトは多種多様なコネクションチャネルを活用しなければならない立場にあるといえます。

IT投資局面と職種: 青い部分が「主たる活動局面」、オレンジの部分が「従たる活動局面」になる(独立行政法人 情報処理推進機構 ITスキル標準センター「ITスキル標準V2 2006 2部:キャリア編」より抜粋)