ベッカー氏に続いて、デルの戦略的パートナー各社の日本法人トップからも、各社の戦略およびデルとのパートナーシップについて、講演が行われた。
マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長は、「マイクロソフトが打ち出している"People Ready"と、デルの"Simplify IT"には似たような狙いがある」とし、「日本においては、工場作業者の生産性向上では大きな成果が出ているが、インフォメーションワーカーの生産性効率は遅れている。欧米では3%も生産性があがっているのに対して、日本は1.5%の上昇に留まっている。根本的な問題は、レガシーやカスタムシステムに投資してきた背景から、オープンシステムや、グローバルシステムへの移行ができていない点にある。だが、個人情報保護法や日本版SOX法などにより、変化に対するプレッシャーがかかっており、また、Simplify ITのメリットに気がつきはじめている。
マイクロソフトでは、セキュアな管理基盤、ビジネス生産性基盤、アプリケーションプラットフォームといった観点から、インフォメーションワーカーの生産効率を上げる製品を用意している。2008年も数多くの製品投入を予定しており、デルとともに市場への迅速な導入を図る。マイクロソフトは、ソフト + サービスが将来の形だと見ている。リッチクライアントとクラウドの組み合わせで、新たな価値を提供していく」とした。
また、インテルの吉田和正共同社長は、「デルが打ち出すエコシステムのなかで、インテルは、一緒にイノベーションを進めているパートナー」とし、「インテルも、ITのシンプル化は大切な要素だと考えている。デルのSimplify ITの考え方においては、GET IT FASTERの観点から、最新技術のCPUを市場にいち早く投入することになる。これは効率化だけでなく、企業が競争力を持つ上でも大切なこと。また、RUN IT BETTERでは、効率的な運用管理と、高いパフォーマンスと電力効率を実現することに取り組んでいる。GROW IT SMARTERの観点では、標準化とともに、仮想化技術をいかに使うかに力を注いでいる。最新の45nmプロセステクノロジを利用したCPUは、リーク電流を10分の1にしながらも、50%も性能向上を実現している。パフォーマンス、電力効率の向上、仮想化といった技術革新を実現したものだ。2008年は新たにPenrynファミリを投入し、45nmへと完全移行する。デルのブレード、クライアント、サーバにも、これを提供することになり、デルとの事業機会がますます増えるだろう」とした。
EMCジャパンの諸星俊男社長は、「つい数年前までは、EMCの売り上げ構成比の4分の3がシステムだったが、いまでは半分以上をソフトウェアとサービスが占めており、情報インフラストラクチャの総合ベンダとなっている」とEMCの現状を紹介。「情報が複数の次元で変化している。情報量は、今後、約6倍に増大するとともに、情報の種類の増加、情報の用途の拡大、情報を取り巻く規制の増加という動きがある。情報管理をどうしていくかということがこれからますます重要になる。Simplify ITにより、リソースを最適化し、情報を保護するコストを下げることができる。情報資産の活用、インフラストラクチャ管理の最適化のほか、損失/ダウンタイム/不正アクセスからの保護、インテリジェントな方法での保存といった観点から、情報インフラストラクチャ戦略を捉えることが必要であり、シンプル化したITが、運用を簡素化しコストを最適化していくことになる」などとした。
また、「デルとの協力関係は強固であり、5年間に渡り数10億円のビジネスを実現し、昨年、5年間に渡り協業関係を延長した。デルのストレージ部門の強化という成果だけでなく、仮想化、セキュリティといったEMCグループのリソースを生かした協業メリットを追求していく」とした。
最後に、デルのメリット社長は、「デルは、3つのポイントにフォーカスしている。ひとつは顧客、2つめは従業員、そして、最後にパートナー企業である。デルの成功は、パートナー企業との強固に関係が支えている。今日の基調講演で、パートナー企業とベクトルが一致していることを理解してもらえただろう。このエコシステムを生かして、ITをシンプル化することができる。顧客は、よりリスクを低減することができるようになるだろう」と締めくくった。