司会者の紹介とともに1番目の参加者が電子キーボードの前に着席する。演奏したのは『コンドルは飛んでいく』。知っている音楽ということもあり、すぐに曲の世界に入りこむことができた。ご存知の方も多いと思うが、電子キーボードは様々なパターンの音楽が既にプリセットされていて、演奏者は左手でギターのようなコードを弾き、右手でメロディーを奏でる。コードを弾くとプリセットされているリズムや伴奏が流れるので、メロディーとの組み合わせによって曲のアレンジは無限に広がる。だからだろうか、聞いたことのある曲なのに、何故か初めて聞いたかのような新鮮さを感じた。
次に団体チームが登場。こちらは『モア』という曲を披露した。曲自体は知らなかったものの、参加したすべての人間が一丸となってリズムや伴奏、メロディーを構成していく様に引き込まれていった。続いて登場したのは、キーボードを始めて1年半という年配の男性が弾く『ロシアより愛を込めて』。プログラムを見ると、練習を始めたのは1年半前という。それほど短い期間によくこれだけ弾きこなせるなぁと感心しているうちに、演奏は終了。そうこうしているうちに、あっという間に第一部と第二部が終了した。
ふと、電子キーボードの傍にある黒い物体が目に付いた。あれはなんだろう……。カシオ計算機の広報担当者に聞くとすぐに解決した。「あれは、確認用のスピーカーです。素人の方が初めてステージに立つと、自分の音が分からなくなることが多いので、そうならないように昨年から各電子キーボードに1台、自分の音を確認するためのスピーカーを設置することにしました。毎年、来場者や参加者の意見を参考に、ステージで実力が最大限発揮できるようにと、配慮しております」。そんな小さな配慮からも、よりよいイベントにしたいという、主催者側の静かな熱意を感じる。
出演者の演奏がすべて終了すると、続いてCMCスタッフによるデモンストレーションが行われた。技術、アレンジともに素晴らしい演奏を30分にわたって拝聴する。時折、演奏のテクニックについてスタッフより説明があるのもCMCフェスティバルならでは。来場者もプロのテクニックを少しでも吸収しようと、熱心に聞き入っていた来場者の姿が印象的であった。
そしていよいよ審査発表。