オンライン上で残す言動を記録管理プログラムで監視
仮想世界が現実世界の投影であるならば、当然「犯罪行為」も存在する。性犯罪、賭博、違法集会、テロ行為、財産やアカウントの盗難など現実社会さながらの犯罪が発生している。
しかしこれまで見てきたとおり、セカンドライフに代表される海外の仮想世界が映し出す社会環境は、中国国内のそれとはかなり異なる。インターネットを取り巻く社会環境自体が異なる、という意味だ。米国は基本的に自由な社会であり、セックスやギャンブルをめぐる価値観も中国とは大きく違う。だから、米国のセカンドライフをみても、運営側はテクニカルサポートと土地の貸し出しのほかは、基本的には住民の活動には干渉しない。同国企業が運営するセカンドライフは自由世界の投影、と言ってもいいだろう(※)。
※ただし、セカンドライフにも禁止行為の規定はあり、カジノなどのギャンブルは全面禁止されている。
中国では、セックス、賭博、テロリズム、違法な言論、違法な集会などはすべて厳格に統制されている。だからこそ創想王国も、当初から運営キャリアの指導や規範の下における、「秩序ある仮想世界」の建設を指向したのだった。
たとえば、創想王国では、セカンドライフで見られるような性行為のモーションが、人物動作のシステムに入れられていない。創想王国の利用者は抱擁やキスなどはできるのだが、裸体の性行為は禁じられている。もちろん、仮想世界で買春行為をすることもご法度だ。
創想王国は、セックスパーティーやカジノも許していない。性やギャンブルをめぐる犯罪行為は、ここでは存在し得ない。しかもユーザーがオンライン上で残す言動まで記録管理プログラムで監視されているという念の入れようなのだ。
要するに、国に不利な言論や行為が、徹底的にコントロールされているわけである。さらに前科のあるユーザーに対しては、IDを与えないなどの手段により、この"パラダイス"への侵入を阻むこともできるという。