仮想空間の多くが、リリース前に「流産」

今年上半期の中国オンラインゲーム市場を振り返ると、HiPiHiをはじめ、愛好者に現実世界と異なる人生を体験させる仮想空間「由我世界」を運営する北京優万科技、欧州のバーチャルワールド「HABBO」の中国語版で、愛好者に個性的なスペースを提供する大型画像バーチャルコミュニテイ「哈宝中国」の運営企業Sulakeなど、バーチャルワールド関連市場への進出を目論む企業が国内外を含め、数十社も登場したことに驚かされる。こうした事態を受け、マスコミや専門家などは、バーチャル世界関連ゲームが中国のオンラインゲームの発展方向を大きく変える可能性があると色めき立ったものだった。

ところが、事の成り行きはそれほど単純なものではなかった。蓋を開けてみると、誕生が予想された多くのバーチャル世界関連ゲームが結局市場に出ることもなくお蔵入りになってしまったからだった。

業界筋はその原因を、米国産のバーチャルワールドゲームを、入念なローカライズを経ることなく中国市場に持ち込もうとしたから、とみる。

女性の人気を集める「浪漫荘園」

たとえば、で、参加者がものづくりを行うことができる「天工造物」のモニターとなったある愛好家は、天工造物はセカンドライフの中国語版にすぎないと述べている。登場人物とストーリー仕立てが、セカンドライフとほとんど同じであったからだ。HiPiHiがどこまで真剣にローカライズの問題を考えているのかはわからないが、ローカライズとは決して単純な「中国語訳」ではない。セカンドライフのようなコンテンツを中国に導入しようとすれば、対象ユーザーのニーズや習慣などをよりきめ細かく分析し、配慮する姿勢が求められるのだ。

北京天成●境科技が運営するゲームサイト「楽遊網」においてリリースされた「浪漫荘園」は、HiPiHiとは少し違う道を選んだ。浪漫荘園は、自分の「荘園」を持つことができ、豊富なDIYの要素で楽しめる仮想空間。簡単な操作方法と面白いストーリーで人気を呼んでいる。画面は比較的シンプルな3D画面だが、騰訊が提供するチャットゲーム「QQゲーム」と似たカジュアルな要素を取り入れているため、遊んでいて純粋に楽しい。浪漫荘園はSulakeが世界各地で運営する仮想空間「HABBO」とやや似ており、ユーザーの78%が女性だという。

● 「月」へんに「生」、以下同様。