バルマーCEOの講演後は、開発者との質疑応答となった。

ディスカッションのテーマには、今後の技術革新の方向性を示す「Innovation」、開発者としてのキャリアの育て方、描き方を示す「Career」、国内IT産業の発展と開発者の関わり方に関連する「Eco-system」の3つが挙げられた。事前に開発者から寄せられた質問は70を超えており、さらにその場での質疑応答も行われた。

ディスカッションテーマ

"生バルマー"に日本人開発者が直接、接することができる貴重な機会だけに多くの質問が寄せられた

「技術のブラックボックス化が進むことに、技術者として不安を覚える」「技術が進むと、人間の能力が劣っていくのではないか」という質問に対しては、「ユーザも、ソフト開発者も、ある一定の複雑さにしか対応できない。開発者はプラックボックスの中はどうなっているのかということを知りたがる。だが、本当はより高いセマンテックレベルに移行することが大切であり、頭脳を次の開拓領域に活用する必要がある。

実は4年前に、母校のハーバード大学に行ってきたが、彼らは"私が気に入らないOS"を使っていた。理由は、"Windowsは研究対象としてはレベルが高いものであり、どう機能するのかという構造を理解するには、MS-DOSが最適であった"という。だが大切なのは、ブラックボックスがあったとしても、より高いレベルで仕事をすることであり、システムをより高いレベルで戦えるものにしていく必要がある。Microsoftはオープンな環境でOSやツール、アプリケーションを提供するとともに、セキュリティを強化し、互換性、管理性、拡張性、信頼性を維持したものをソフトウェアデペロッパーに対して提供していく。クラウドベースの世界においても、セキュリティの問題などが起こらないようなプラットフォームを構築し、ツールを作る」と語った。