高い成長率と過剰流動性が下支えに

今年第4四半期の中国企業の国内上場について、清科研究センターは、「穏やかなインフレーションと拡大基調にある株式市場という双方の状況を踏まえると、前期より増加し、最高記録を更新するだろう」と予測している。一方、「中国の株式市場政策を統括する中国証券監督管理委員会(CSRC)による新規上場企業に対する審査と承認手続きが、ペースダウンする兆しがみられる」とも述べている。だが、株価高騰などいくつかのリスクは抱えているものの、国内の高い成長率と底堅い過剰流動性を背景に、中国企業の国内上場は今後とも増加するというのが大方の見方だ。

海外上場については、環境の変化がないことから、第4四半期も前期と同じく活発なものになると予想されている。特に、上場先が香港市場へ集中する傾向や、1件あたりの平均資金調達額が比較的小規模という2つの特徴が継続するだろうと、同センターはみている。

しかしながら、今年の第4四半期、およびその後の中国企業による海外上場は、促進要因と抑制要因がこれまでに増して振幅し、先行きの不透明感が出てきそうだ。

中国企業の海外上場は、資本市場を含む国際市場への進出を政府が促す「走出去」戦略の一環として推進されてきた。国内上場と比べると、資金調達コストが低いこと、コーポレートガバナンスが改善されること、企業の国際的なプレゼンスが強化されることなどのメリットがあるため、多くの中国企業が海外上場に活路を求めている。