今月6日に中国の企業間電子商取引最大手の阿里巴巴網絡(アリババ・ドット・コム)が香港証券取引所に上場するなど、中国企業の株式上場が急増している。本稿では、ベンチャーキャピタル(VC)やプライベートエクイティ(PE)に関するコンサルティングや調査を行っている清科集団傘下の研究機関「清科研究センター」が発表した「2007年第三季度中国企業上市報告」などに基づき、中国企業上場の実態と背景、今後の動向を明らかにしたい。
上場企業社数が四半期で最高記録更新、上場先も多様化
2007年第3四半期には、73社の中国企業が株式上場を果たし、あわせて218億6,000万ドル(約2兆5,173億円)の資金を調達した。そのうち、海外で上場した33社の資金調達合計額は74億7,000万ドル(約8,590億円)、国内上場した40社の資金調達合計額は143億9,000万ドル(約1兆6,583億円)だった。
中国企業の海外上場と言えば、これまでは主に香港証券取引所、NYSEユーロネクスト、シンガポール証券取引所、NASDAQなどに集中していたが、今年の第3四半期は、東京証券取引所、韓国のハイテク・中小企業株取引市場KOSDAQ、シンガポールの新興企業株取引市場SESDAQ、英国のLondon Stock Exchange (AIM)での上場案件も出た。中国企業の海外上場先の多様化と分散化が急速に進んでいることがわかる。
今回初めて東京証券取引所第一部に上場した中国企業は、環境ソリューションを提供している北京博奇電力科技を中核会社とする企業グループChina Boqi Environmental Solutions Technology (Holding)で、8月8日に上場した。また、メディア関連機器、ホームシアターなどの製造大手である深セン三諾電子は同月17日にKOSDAQに上場した。
一方、第3四半期に海外で上場した企業社数は、四半期単位では史上最多となったが、調達金額ベースでは、1件あたりの平均調達額が2億2,636万ドル(約260億3,240万円)だったのに対し、海外上場案件の半数以上が、資金調達額で6,000万ドル(約69億円)を下回った。
第3四半期に国内で上場した企業社数は、昨年第4四半期と同じく過去最多の40社だったが、件数ベースで今年第2四半期の22社を大幅に上回った。また資金調達総額も第2四半期より54億2,000万ドル(約6,233億円)増加、昨年同期比では82億3,000万ドル(約9,464億5,000万円)増加し、四半期単位で最高記録を更新した。
国内上場企業の1件あたりの資金調達額は、3億5,975万ドル(約413億7,125万円)で、海外上場企業の平均を1億ドル(約115億円)以上上回った。国内での上場先をみると、深センの中小企業ボードが35社(資金調達総額20億2,000万ドル、1件あたり平均5,771万ドル)、上海証券取引所が5社(同123.7億ドル、同24億7,460万ドル)となっている。