欧米韓の大手メーカー5社に加え、中国や台湾など数十社の端末メーカーひしめきあう中国は、メーカー同士の競争が激しい市場の1つである。毎月の新規加入者数は百万を越えるレベルで推移しており、それにあわせて端末販売数も急増している。

しかしここ数年は欧米韓大手メーカーが販売シェアを急速に伸ばしており、今やこの5社だけで市場シェアの7割近くを占めるにまで至っている。残り3割の市場のパイを中国や台湾などその他のメーカーが奪い合う形になっているが、すでにNECやPanasonicなど日本メーカーは中国市場から撤退している。残る中国と台湾メーカーは今、生き残りをかけて他社との差別化に取り組もうとしている。例としてPT/Expo Comm Chinaに出展していた中国Amoiと台湾OKWAPの取り組みを紹介しよう。

ナビ端末に勝負をかける中国Amoi

製品化間近のTD-SCDMA端末を多数展示するなど3Gにも力を入れる中国のAmoiだが、現在発売中の端末ラインナップを見ると、GPSを搭載したナビゲーション端末が主力商品となっている。Amoiは同じ中国のLenovo、Bird、TCLなどと肩を並べる中国でもシェア上位に位置するメーカーだ。一時は欧米大手メーカーとの競争に対抗して端末ラインナップを大幅に拡充したものの、中国国内他社も同じ戦略を模倣したことから"どのメーカーも特徴の無い端末ばかり"という状況になってしまい、結局は消費者離れを引き起こしてしまった。

そこで現在Amoiが取り組んでいるのがナビゲーション端末の強化だ。主力商品の「N5」と「N6」はタッチパネル画面を搭載する、JavaをベースにしたスマートフォンライクなGPS内蔵端末だ。携帯電話機能ももちろん搭載するが、広告展開では自動車や自転車などで利用できるナビゲーション端末であることを謳っている。たとえばテレビCMを見てもほかの機能には一切触れず、ナビゲーション機能を使いドライブやタウンウォーキング時に便利な端末であることをアピールしている。

Amoiブースに並ぶスマートフォン系端末。画面に地図を表示した状態で展示しており、ナビゲーション機能をアピールしている

テレビCMでもGPSナビ機能を売りにしている(北京市内のバス車内の広告配信TV画面)

現在の主力製品「N5」(左)と「N6」(右)。N5は本体前面に金属素材を採用、N6の画面サイズは2.8インチと大型だ

発売予定の「N800」と「N810」はWindows MobileをOSに採用したGSM端末。N800の画面解像度はVGAで地図や文字をより詳細に表示可能だ

中国大陸は広く、紙や書籍の地図は誤差があったり最新情報がアップデートされないなどの問題もある。そのためWindows Mobile端末などスマートフォン向けのGPS連動型地図アプリケーションがいくつか販売されているが、Amoiは後から地図を購入したり外付けGPSを利用することなく、単体で即座にナビゲーション端末として利用可能なこともメリットにあげている。また同社はWindows Mobile端末も発売しているが、年内発売予定の新しい同OS搭載スマートフォンも、やはりGPS内蔵とナビゲーション機能を売りにしていくのだという。中国内でもまだGPSを内蔵した端末は少なく、同社の一機能集中戦略は他社との差別化を十分図ることができそうである。