Googleからの買収による相乗効果

買収以後で気になるのは、Googleに買収されたことでどういったメリットがあったかという点だ。現在、YouTubeではGoogleのインフラストラクチャやフィーチャとの統合を進めている。たとえば、YouTubeの検索機能にはGoogleインフラストラクチャが活用されている。しかし、「すべてを統合するというスタンスではなく、必要があれば統合し、必要がない部分は統合していかない」そうだ。

特にGoogleに買収されたことで、さまざまな細かい面で役に立つことが増えたという。「たとえばYouTubeはビデオの登録数がとにかく多い。サムネールを生成するだけでもかなりのパワーが必要になる。こういった要求に対応するためにGoogleのテクノロジーが活用されている」という。

著作権への取り組み - 技術対処は当然だが、話し合いから次の可能性を模索

自身のビデオやコンテンツをアップして楽しむ、または説明を動画でアップするといったYouTubeが本来期待していたと思われる使い方と比べて、日本ではメディアで報道されたコンテンツをアップロードして楽しむという、コンテンツホルダーとしては見過ごすことのできない状況がある。

両氏はエンジニア部門の関係者であり、著作権についての見解を尋ねるのは見当違いかもしれないが、あえて同問題について質問してみた。既報のとおり、YouTubeでは技術的にはフィンガープリントで違法コンテンツのアップロードに対処している。しかしMarane氏からは、あくまでも個人的見解としながらも、「この問題は技術的に対処するのは当然だが、もっと別の方法で解決していくべきだ」という意見が述べられた。

「YouTubeでは2006年からメディアコンテンツホルダーやアーティストと話し合いを続けている。いわばYouTubeとしてのチャレンジだ。Naspterの例もあれば、iTunesも例もある。YouTubeのようなオンライン動画共有サービスにおいても同じように、これからいろいろ模索していく必要があり、話し合いによって新しい可能性にともに挑戦していきたい」という。YouTubeの広大なインフラストラクチャが魅力的であることは確かだ。これを生かすことができれば、YouTubeはコンテンツホルダーにとっても魅力的なインフラストラクチャとなるだろう。