中国のZTEとAmoiは自社ブースにてTD-SCDMA端末を多数展示していた。デザインやスペックはすでに自社で発売しているGSMやW-CDMA/HSDPA端末と同等の製品もあり、無線部分をTD-SCDMAに変更するだけとすることで端末の開発スピードを短縮させたものも目立っていた。また、タッチパネルを搭載し手書き入力に対応したスマートフォンタイプの端末も多く、音声通話だけのエントリーモデルではなくビジネス用途にも利用可能なハイエンドモデルのラインナップを揃えているのも特徴的だ。

TD-SCDMAが商用化されれば、いずれは海外の大手メーカーが市場参入してくることも予想される。中国国内メーカーとしてはサービスの開始当初からハイエンドモデルを投入することで、TD-SCDMAに強いメーカーであることをアピールするとともに、自社ブランド力を高める狙いもあるのだろう。

ZTEはTD-SCDMAの体験コーナーを設置し端末の展示を行っていた

同社の薄型折り畳み形端末やスマートフォンスタイルの端末

Amoiブースでも「3G=TD-SCDMA」が大きくアピールされている

データ通信端末を含めたTD-SCDMA端末6機種を展示

同社のTD-SCDMA機はスマートフォンタイプが多いのが特徴。OSにWindows Mobileを採用した端末もラインナップされる

2.6インチQVGA液晶、200万画素カメラを備えたTD-SCDMA端末「Amoi T5」はアルミ素材を採用した高級感あるモデル

端末の多くはGSMとのデュアルモード

会場で見かけた動作可能なTD-SCDMA端末は全てGSMとのデュアルモード端末で、TD-SCDMAのみ利用可能なシングルモード端末は皆無であった。商用向けには両モードの対応が必要なのであろう。実際に中国でTD-SCDMAサービスが開始されたとしても、しばらくは主要都市のみなど、利用できるエリアは狭いことが予想される。デュアルモード端末であれば非TD-SCDMAサービスエリアではGSMサービスが利用可能であり、1台の端末で中国全土や海外での国際ローミング利用に対応することができるわけだ。

なおTD-SCDMAとGSMのデュアルモードモジュールでなく、2つのモジュールを搭載している"デュアル待ち受け"可能な端末も展示されていた。これは中国メーカーの製品に多く、TD-SCDMA・GSM両方式間のハンドオーバーに非対応の端末で、2つの電波を同時に利用することで両方式に対応させているものである。TD-SCDMAのシングルモード対応では商用端末としては不適であることから別途GSMモジュールを搭載する、という発想は中国メーカーらしくユニークである。

待ち受け画面にTとG、2つのアンテナマークが見える端末(上)。TはTD-SCDMA、GはGSMの意味。下は両方式のハンドオーバーに対応した端末。Tマークは現在TD-SCDMAの電波を拾っていることを意味する