「防犯」「防災」「リスク管理」に関する製品・ソリューションが一堂に会する「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」が17日、東京ビッグサイトにて開幕した。「日本初の危機管理総合トレードショー」(主催者)として、2005年より開催されているもので、今年で3回目。本稿では出展されていたロボット関連の話題を中心にレポートしたい。

今年で3回目の「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」。主催は東京ビッグサイトで、会期は19日まで

会場裏の多目的埠頭では、海上保安庁の災害対応型巡視船「いず」の一般公開も行われている

ヘビ型レスキューロボ

特徴的な動きのヘビ型レスキューロボットを出展していたのは、東北大学の田所研究室。"ロボット"と言ってしまったが、じつはスコープカメラのケーブルに繊毛をグルグル巻き付けただけのシンプルなものだ。30cm間隔で埋め込まれた振動モジュールにより、繊毛が細かく上下動し、それによって前へ進む推進力を得ているという。

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説明よりも、実際にこの動きを見てもらったほうがいいだろう。ケーブル周りの繊毛の上下動だけで前に進んでいる

原理としては、猫じゃらしを手でニギニギすると動いていくのと同じとか。同研究室ではこれを「繊毛振動駆動型 能動スコープカメラ」と呼んでおり、災害救助に役立てる考えだ。メーカーと組んでの商品化を考えているそうで、来年度くらいには発売されるかも、ということだ。

繊毛振動駆動の原理

先端のカメラで内部の様子が分かる

スコープカメラは細いので、狭い隙間に挿入して内部を観察することができるが、入り組んだ場所でスムーズに進入させることは困難だった。この能動スコープカメラでは、自身が推進力を持つ上、ある程度の進行方向の制御も可能なので、そういった場所でも活用できそうだ。

ロボカップ出場ロボも

レスキューロボットとしては一般的なクローラ型では、前述の東北大学・田所研究室、千葉工業大学・小柳/吉田グループなどが共同で開発した「Kenaf(ケナフ)」が展示されていた。Kenafの特徴は、クローラが底面の全体を覆っていることだ。これにより、障害物に乗り上げて身動きが取れなくなることを完全に防いでいる。

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こんなに凸凹が大きくても進んでいくことができる。障害物にあわせてフリッパ(アーム)も上下させる

こういったレスキューロボットの目的は、安全な場所からの遠隔操作により災害現場の状況を把握することで、2次災害を防止しつつ活動範囲が広がることも期待される。このKenafは地下街などでの活動が想定されているとのことで、脱出してくる人たちを避けながら進む機能も実装される予定だとか。12月には、実際に仙台の地下街で実証実験を行う予定もあるそうだ。

高い位置に魚眼レンズのカメラが設置されている

中央のウィンドウがその映像。これらを見て操作する

今年のロボカップ世界大会(アトランタ)にて、レスキューリーグのMOBILITY競技で優勝したということからも、移動性能の高さは折り紙付き。Kenafはそのボディに、カラーカメラを搭載するほか、サーモグラフィまで用意している。