端末ベンダとの関係についても、イー・モバイルは新しいアプローチをとる。他社は1台あたり約10億ドルもの端末開発コストを負担し、端末ベンダに自社向けカスタマイズを行った端末を投入させているが、イー・モバイルは、カスタマイズを抑えることで、これまでの囲い込みモデルに挑戦する。囲い込みモデルについて、千本氏は、「(その結果)日本の端末ベンダは国際競争力を失ってしまった」ともコメントした。「オープンがキーワード」と千本氏は強調する。また、設備投資コストも差別化となる。小型基地局などの最新技術を利用することで短期かつ低コストでHSPAネットワークを構築しているという。

今後の計画については、来年春に音声サービスを開始する。また、伝送速度も上げていく。現在、3.6Mbpsだが、半年後を目処に下り最大を7Mbpsを、2年後には20Mbps実現を目指すという。

WiMAXについては、今週はじまる総務省の免許付与に向け、イー・アクセスはライバルでもあるソフトバンクと組んで申請する。この動きについて千本氏は、WiMAXで日本政府ははじめて申請企業から選んで免許を付与することになること、1企業で収益を得るのは難しいこと、などと説明した。

なお、WiMAXについて千本氏は、サービス開始が予定されている米国と韓国のWibroがあるが、「成功しているとはいえない」という。「(WiMAXをプッシュしている)Intelがもし、日本でWiMAXを成功させられない場合、WiMAXはそれほど普及しないだろう」との見解も示した。

千本氏はイー・モバイルの資金調達についても触れた。同社の投資企業には、Goldman Sachsを中心とした世界トップレベルの金融機関が名を連ねている。投資会社はベンチャー企業の成長に大きな影響を与えるため、千本氏にとって、自身が描く企業目標を実現するため、国際的な投資会社、ベンチャーキャピタルからの投資は不可欠だったようだ。

イー・モバイルの挑戦は始まったばかり。これまで、NTTを中心に既存のテレコムに挑戦してきた千本氏は、「(イー・モバイルの提供する)モバイルブロードバンドサービスは既存テレコムに大きな影響を与えるだろう」と述べて、スピーチを締めくくった。