――この作品を通して、どのようなご経験をなさいましたか?
「『セーラーファイト!』は、スポンサーいないでしょ。だから、僕が思ったとおりに脚本を書き、演出をし、予算がなくてカメラマン呼べないから、カメラも自分で回すし。編集も合成も自分でやって。ほとんど自分一人で作れたわけです」
――そういったご経験をなさって、どのような感想をお持ちですか?
「『セーラーファイト!』が終わったときに、これ以上のわがままな特撮番組はもう作れないと思いました。だから、テレビで特撮番組を作る気はないんですよ。何をやっても『セーラーファイト!』を超えられないから」
――一般にテレビ番組を制作・放送する場合には、制作会社、放送局、スポンサー、代理店の4者の合意を得る必要がありますよね。
「スポンサーから『こういうデザインでやれ』とか、『ヒーローをもっと活躍させろ』とか、『ロボットの見せ場を作れ』とか言われるわけですね。オモチャ売らなきゃいけないから」
――そこで、自主製作の道に踏み出されたわけですか?
「そうです。で、自主製作で作っていこうとしたときに、あえてテレビじゃやれないヒーローをやりましょうと。怪獣を殺すことを楽しむとかね、自分の私利私欲のために正義を押し通すとか、『正義のためなら、どんな悪いことでも平気でやっちゃうヒーロー』。そんなアマノジャクなヒーローだから『アーマージャック』と名づけて、その『アーマージャック』を製作するためのプロジェクトとして『アーマージャック・プロジェクト』、略して『アマプロ』を立ち上げたんです」
――これまでのお話で、映像作品の制作から興業まで、一通りのご経験をなさったことが分かりましたが、グッズの製造に関してはどうだったのでしょう?
「『今甦る!昭和ヒーロー列伝』は月1回放送で、枠自体は毎週あるわけですから、自分で企画書を書いて取材すればいいわけですよ。で、オモチャメーカーの方とお知り合いになって、ソフビ製品を製造するノウハウをそこで知ったわけです。ですから『アマプロ』では映像を製作して、そのソフビを作って、それを売って回収し、さらにそのアガリで新作を撮って、そのまたソフビを作り、というサイクルができたらといいなと。それが『一人マーチャンダイジング』です。これならすべてが自分の自由になって、どこからも横槍が入らないわけですね」
――その映像制作の今後の目標は、どういったことでしょう?
「巨大な怪獣というのは、映画館の巨大なスクリーンで観ないと迫力出ませんから、やっぱり自分の中では、劇場用映画というのが最終到達目標地点ですね」