ネットの「道の駅」は、予想外に楽しさ充実

サービス名にもあるように、『シネマ・コンプレックス on フレッツ』はNTT東日本/西日本(以下、NTT)のフレッツ光/ADSL回線利用者を対象にしたサービス。実はこれ、インターネットとは"違う場所"で行われているものなのだ。

フレッツとインターネットの関係

この図のように、フレッツはインターネットを経由せずにアクセスできる、いわば"地元"のインフラ。そこはフレッツユーザーだけが利用する回線で、インターネット上の他のサービスの影響を受けずに利用できるという利点がある。

例えばYouTubeで動画を見るときには、自宅を起点にフレッツの回線からプロバイダを経由してインターネットにアクセス、その複雑な網をくぐってYouTubeのサーバにアクセスするという手順が必要だ。譲り合いの精神でデータが流れるインターネットの世界では、「無秩序な使い方をする不特定多数に出会えば、こちらが譲らなくてはならない場合もある(楢崎氏)」という。早い回線を契約しているのに特定のページがなかなか開かなかったり、ストリーミングで再生する動画が途中で遅くなったりするのがそれだ。

これに対してフレッツネットワークは複雑なネットワークを介する必要なく、自宅を出るとダイレクトにサービス用サーバにアクセスできる。『シネマ・コンプレックス on フレッツ』はここに置かれているのだ。車での行楽に例えると、インターネットが高速道路を乗り継いで遠くのI.C.で降りて観光地に行くのに対して、フレッツは近くの国道沿いにある道の駅に行く、という感じだ。

インターネットとフレッツでは接続先が異なるため、技術的な話で言えば回線の接続設定を変更する必要がある。通常、自宅からネットに接続する場合は契約プロバイダを接続先として設定しているため、本来ならばその接続を一旦切ってフレッツを接続先とする設定に切り替えて再接続する、つまり別の場所に電話をかけなおすような手順を踏まなくてはならない。

しかしここ2~3年の間にフレッツを契約し、NTTのレンタルのものをはじめとした新しいルーターを使用している環境ならば、ルーターにあらかじめフレッツへの接続設定が書き込まれている場合が多く、接続の設定を意識しないでフレッツネットワークへアクセスすることができる。

NTTではこのフレッツネットワーク上で『フレッツ・スクウェア』というサービスを提供している。映画だけでなくドラマやアニメ等の映像、音楽、ゲームなど様々なコンテンツが提供されていて、フレッツユーザーなら使っておかなくては損だ。

フレッツ・スクウェア トップページ

フレッツ・スクウェアでの高画質動画配信の実績は長く、今から5年も前の2002年、まだYouTubeもGyaoも存在しなかった頃、すでに3Mbpsで動画の配信を行っていた。当時テレビ放映中だった『ガンダムSEED』を放送翌日から1週間無料で配信、それ以前の話数は有料で視聴できるというシステムだ。最近のアニメでも多くの作品がその方法を取り入れている。今時珍しくないと書いた動画配信サービスだが、フレッツではその先陣を切って高画質での配信を行っていたのだ。