スマートフォン市場は、ウィルコムの「W-ZERO3」登場以来、順調な伸びを示しており、急速に縮小したPDA市場が再び盛り上がっている。これに対してドコモは、2005年の「M1000」、2006年の「hTc Z」、「Blackberry」と端末を提供してきたが、これまでは主に企業ユーザーをターゲットとしていた。

PDA市場の動向。PDAに通話機能がついたスマートフォンが市場をリードしている

ドコモのスマートフォンラインナップ。今回、ここにF1100とHT1100が加わる

今回、ドコモではコンシューマをターゲットとしたHT1100をリリースすることで、スマートフォン市場のさらなる拡大とシェアの確保を狙い、特にハイエンドコンシューマの獲得に意欲を示す。

ドコモ調査によるスマートフォンへのニーズ

両モデル共通の特徴

ドコモではスマートフォンに対するユーザー調査を行い、大きさや通信速度、携帯電話のような使い勝手ではない――などの不満点を洗い出し、今回の端末ではこれらの不満点を解消することを目指した。永田氏は、「スマートフォンにはいい点と悪い点がある」と指摘し、スマートフォンに対するユーザーニーズが「これまで通りのPC、企業ソリューションとの連携の良さを維持しながら、薄さ、軽さ、使い勝手の良さ」にあると分析。PDAとしてだけでなく、携帯電話としても従来の端末のように「自然な形で通話できることが望まれている」という。

国内のスマートフォンでは一般的な「スライド式フルキーボード」をあえて排除し、普通の携帯電話と同じ10キーのみにしたのもユーザーの使い勝手の良さを念頭に、他社との差別化を図った結果だ。携帯電話の使い勝手を追求し、既存の不満点を解消したという意味で、永田氏は現時点では「コンペティター(競争相手)はいない」と自信を示す。

「ライバルはウィルコムとソフトバンク」という永田氏だが、このスマートフォン市場で新たなユーザー層を獲得しつつ、企業ユーザーに対しても富士通との連携でシェア拡大を狙い、これまで以上に市場での存在感を高めたい考えだ。

F1100とHT1100を掲げる永田氏