本番となる26日の大祭には、水木しげる氏を筆頭に、作家の荒俣宏氏、妖怪研究家の多田克己氏、現在放送中の『ゲゲゲの鬼太郎』(第5シリーズ)で猫娘役を演じる声優の今野宏美さん、司会に京極夏彦氏が登壇し、2部構成でトークが行われた。

時刻はまさに黄昏時。鐘の音とともに第12回世界妖怪会議が開幕した

前夜祭に続いて出席した作家の京極夏彦氏と、『ゲゲゲの鬼太郎』の猫娘役で現在活躍中の声優・近野宏美さん

会議の見どころは、やはりなんと言っても水木しげる氏による自由闊達な妖怪談義。独自の妖怪哲学に始まり、幼少時や南方戦線での思い出話、排泄物やおならに関する話題も飛び出し、ユーモアと妖気に満ちた話題は場内を爆笑の渦に巻き込んでいた。「普段、水木さんとお話しすると、だいたいシモの話しかしないんです」(荒俣氏)、「今日はフル装備でお送りしました。12年やってますが、こんなにたっぷり聞けたことはないんです」(京極氏)と出席者も快哉。会議ではこのほか、リクエストに応えた水木氏が即興で鬼太郎と目玉の親父を描き上げる、という一幕も行われたほか、『墓場鬼太郎』がアニメ化されるというサプライズ発表も飛び出し、最後は大きな歓声に送られて会議はお開きとなった。

日本オカルト界の巨人・荒俣宏氏(左)と妖怪研究の第一人者である多田克己氏(右)

御年85歳の水木しげる氏(中央)が満場の拍手に迎えられて登場! 「やっぱり電気が増えると妖怪が減りますね。行灯とかランプなんてお化けには最高ですね」といきなり水木節全開

「心を開いて待っていると、目に見えないものがぱっと来て助けてくれますね。そういう楽をして金を儲けさせてくれる器用なものがいるんですわ。そういうところから神様も出てきたと思うんです」(水木氏)

水木氏の話に出演陣も思わず聞き入る。「暗闇の妙な文化を笑ったり否定するばかりで育てる人がいなかったんですね。もてはやして本当らしく考えていれば、もっと中世や神代の妖怪も生き残れたと思うんです」

水木氏は世界妖怪会議の記念としてステージ上で腕前を披露。満場の観衆が見守るなか、あっと言う間に鬼太郎と目玉おやじを描き上げた

第1部と第2部でそれぞれ描かれた、鬼太郎と目玉おやじがこちら。右の絵に描かれた、横向きの目玉おやじは非常に珍しいとのこと

このほか両日とも夜からは映画村全体を妖怪たちが練り歩く、妖怪百鬼夜行が行われた。このパレードは映画村が京都市内の大将軍商店街とコラボレーションしたもの。大将軍商店街が面した一条通りは、古道具の化け物が夜な夜な行進する百鬼夜行の伝承が残っており、これを活かしたユニークな町おこしが2005年から商店街スタッフや地元大学生らによって行われている。怖くて楽しい妖怪たちの行進が夏の終わりの夜を怪しく彩り、世界妖怪会議は大盛況のうちに幕を閉じた。

世界妖怪会議に続いて行われた百鬼夜行。闇の中から様々な妖怪たちが太鼓や鐘を打ち鳴らして現れた

妖怪は映画撮影用の衣装や特殊メイクが駆使された本格的なもの

10月20日には「一条百鬼夜行」として京都市内の一条通りで再び百鬼夜行が行われる

映画村では仮面ライダーやスーパー戦隊をはじめとした、東映特撮ヒーローに関する常設展示も行われている。こちらは目印の巨大な仮面ライダー

子供たちに人気の仮面ライダー電王。9月15日からは気鋭の舞台作家、きだつよし氏が書き下ろしたスペシャルショー「きだ版ライダー絵巻 激突! 電王VS信長」が開催予定

今夏上映中の『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』は映画村でロケが行われた。スナップ写真や衣装もまとめて展示されている