25日と26日、京都市の東映太秦映画村にて「第12回世界妖怪会議」が行われた。マンガ家の水木しげる氏を中心に年1回識者が集い、妖怪について大いに語り合う世界妖怪会議は、今回初めて古都・京都が開催地に選ばれ、初の2日間開催となった。会場となった映画村内の中村座には両日とも全国から多数のファンが駆けつけ、妖怪人気の高さを示した。

前夜祭となる25日には「京極夏彦・角銅博之 ゲゲゲの鬼太郎を語る」と題した上映会とトークショーを実施。壇上には妖怪を題材とした小説群で知られる作家の京極夏彦氏と、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズに関わるアニメ演出家の角銅博之氏が登場。1997年放送の『ゲゲゲの鬼太郎』(第4シリーズ)から、京極氏が脚本・声の出演・ゲストキャラクターデザインを行った「言霊使いの罠!」が上映された。京極氏が声を演じた陰陽師・一刻堂は「そもそも君たちは最初からいないのだ」と言霊の力で鬼太郎たちを追い詰める破格の強敵。角銅氏によればアフレコ現場での京極氏の演技は指導も不要なほど堂に入ったもので、早口で呪文を読み上げた際には声優陣から驚きの声が漏れたとか。両氏によって語られた当時の裏話が、妖怪ファンと京極ファンを魅了していた。

25日には前夜祭を開催。会場となった芝居小屋・中村座には約500人の妖怪ファンが詰め掛けた

京極氏らしいセリフが散りばめられた脚本と、渋い美声が堪能できる「言霊使いの罠!」は第4シリーズの名編。11月21にはDVD-BOXがリリースされる

言霊の力で鬼太郎たちを追い詰める一刻堂。現場の女性スタッフが京極作品の熱烈なファンだったため、京極氏のデザインよりもずっと美形に描かれているのだとか

一刻堂の人気ぶりに若干困惑気味(?)の京極夏彦氏。「たった1話しか出てないキャラクターなのにパッケージにまで使われてしまいました」(会場笑)

放送中の第5シリーズも手がける角銅博之氏(左)と、ゲストに駆けつけた怪異蒐集家の木原浩勝氏(右)。「京極さんのシナリオは普通の1.5倍ぐらいありました」(角銅氏)

中村座の前はご覧の人だかり。妖怪縁日や妖怪屋台が開かれ、夕暮れ時からはさらに多くの人でにぎわった

物販コーナーでは京極氏のサイン入りパンフレットも。「お化けとライオン」「綿市場」って何でしょう?

京極氏のデザインによる人気の妖怪手ぬぐい。水木氏のコミックや妖怪マガジン『怪』なども多くの人が手に取っていた

実際に摺師の手による実演が行われていた復刻木版画「北斎百物語」。アダチ版画研究所より発売中

手作りで再現された妖怪ポスト。箱の部分には水が入らないようになっており、もちろん屋外で使用可能。こちらはファン工房より発売中

妖怪プロジェクトによる妖怪ライブも開催。武家屋敷前という絶妙なロケーションで観客を集めていた

映画村では世界妖怪会議限定メニューも用意。「一反もめんの杏仁豆腐」(左)と「目玉おやじ氷」(右)

同じく限定メニューから、お好み焼きに焼きそばを乗せた「鬼太郎モダン」。パーマがかかって、ちょっと南国風の鬼太郎