今回のコラボレーションは、グッドデザイン賞受賞者が集まった日本産業デザイン振興会のイベントでeneloopの商品説明を受けたウィルコム 企画担当の堀田峰布子氏が、「eneloopでPHSが動くのでは?」と着想し、三洋電機側に企画を持ちかけたことからスタート。双方の製品特徴を活かし相乗効果を産む製品を目指し開発が始まったという。三洋電機のデザイナーである水田一久氏は、好きな電話機に差し替えて使えるSIM STYLEも、eneloopと同様に「繰り返し使える製品」で共通する部分があると感じたという。また、SIM STYLEの印象について「ケータイも単なるビジネスツールでなく、ファッション性を持ってきた。服を着替えるように、その日の気分に合わせ端末を選べるのは面白い」と述べた。

また、技術的な部分の開発を担当した三洋電機の前田泰史氏は、eneloopを電源とする電話機の企画を持ち込まれたときの心境を「長年あこがれの人から告白されたよう」と興奮気味に話す。「昔は携帯電話はニッケル水素電池で動いていたが、その後リチウムイオンに代わっていった。しかしニッケル水素電池を愛する僕としては、eneloopを開発するときひそかに、この電池で電話が動く世界を作りたいと思っていた」と打ち明け、今回のコンセプトモデルはまさにその思いの一部がかなったものだとした。

スケルトンのプロトタイプ(左)

このコンセプトモデルは試作機で商品化の予定はないが、両社は今後も双方の特徴を活かした開発を続けたていきたいと考えており、今後の展開として水田氏は、自身の1995年神戸での被災経験から、災害時用のPHSの提案がしたいと語る。堀田氏は、eneloopの関連グッズとして作られた犬をモチーフとした電池チェッカー「eneloopy(非売品)」にW-SIMをくわえさせ、通話できたら面白いと語った。

また、GDP会場に設営されたウィルコムブースには、発表された試作機を含む同社コンセプトモデルが展示されている。ブースは「WILLCOM FORUM & EXPO 2007」にて発表されたプロトタイプ「くまふぉん」を外観のテーマとした店舗風のデザインで、クマのシルエットで仕切られた店内を外から覗き込む形のユニークな展示になっている。ブース内には、「W-ZERO3 future edition」や「plamo phone」などのコンセプトモデルから、実際に発売した製品、端末にあわせたパッケージやオリジナルグッズなどが並んでいる。

ブース外観、一見ウィルコムのブースだとわからないが中はWILLCOM SIM STYLE STORE

plamo phone(WP003)

W-ZERO3 future edition(WP001)

SSP(WP014)

今回発表されたプロトタイプも展示しており、クマをモチーフとした専用パッケージも並ぶ

三洋電機の展示として、eneloopの関連製品群である「eneloop universe」も出展されており、ソーラーパネルからeneloopに充電可能な「eneloop solar charger」、繰り返し使える充電式カイロ「eneloop kairo」、犬のマスコットの形をした電池チェッカー「eneloopy」(非売品)、なども展示されている。

eneloop universeの展示、eneloopyはノベルティとして制作されたため非売品

グッドデザイン・プレゼンテーション2007は26日まで開催されており、26日の14時20分より会場特設ステージにて"WILLCOM PROTOTYPE2007「SIM STYLE STORE」"と題するステージイベントが行われる。