Schneier氏の講演ではさらに多くの研究例が紹介され、より多面的にセキュリティにおける心理の影響が考察された。ほとんどはセキュリティ効果が不安に思えてくる内容だったが、「人々はリスクを正確に認識し、セキュリティ対策を適切に実行できる力を十分に備えている」というのが同氏の考えだ。
ただし、現状ではセキュリティの心理学をうまく利用しているのは攻撃者の側だという。「悪意を持った人々がバイアスの影響などを研究し、うまく誘導に利用している」と同氏。セキュリティの専門家が抱える深刻な問題は、人々のセキュリティ意識と現実をうまく調和できていない点にあるという。
「われわれはコミュニティとして、人々のセキュリティ心理の理解にもっと多くの時間を費やす必要がある。特にセキュリティ製品を設計する上で欠かせない作業だ」と述べた。