「FOMA内蔵ヘルメット」に「見えない歩行者をカーナビに通知」

そのほかの技術デモでは、工事現場などで使われるヘルメットにFOMAやGPSユニットを内蔵するなどして、現場での作業をサポートする「Uメット」が出展されていた。

FOMAを内蔵したUメット。こちらはカメラを搭載し、FOMAのテレビ電話機能でリアルタイムに映像を送信したり、蓄積した映像をあとで送信したり、といったことが可能

こちらは別タイプのUメット。鉄道工事で、監視員が電車の接近をスイッチで知らせると、無線でヘルメットのユニットが振動・点滅して接近を知らせる。ヘルメットのボタンを押すと、監視員に対してフィードバックが行われる。GPSユニットを内蔵し、電車が1km以内に近づいたら自動で警告する、というような使い方もできるそうだ

製造は谷沢製作所で、専用のヘルメットの前面に着脱可能なユニットを取り付け、そこにカメラやFOMAユニット、GPSユニットなどを内蔵。たとえば作業中の状況をテレビ電話で映像を送信、指示を仰ぎながら実際の作業を行ったり、災害の被災地ではGPSで位置情報を取得しながら画像や音声をSDカードに保存、それを定期的にFOMAで送信する、といったことなど、さまざまな利用法が考えられる。

ヘルメット自体の安全に関する厚生労働省の認証を取得する必要もあり、実際の製品化は来年になりそう。1個数千円でのレンタルになる見込みだという。

日産自動車と共同開発した参考出展が「GPSケータイを用いた安心安全ITSシステム」。GPSケータイに専用アプリをダウンロードし、逐次位置情報を専用の位置情報サーバにアップロード。その情報を日産のカーナビゲーションシステムに配信し、その付近に歩行者がいるかどうか、注意を促す仕組みだ。

GPSケータイで車対人の事故を減らそうという試みがコレ

実証実験では、ピンポイントで人を検出していたが、サービス化の際にはここまではしない考えのようだ

人の場所を詳細に把握するというよりも、近辺に人がいるので注意を喚起するのが目的とのことで、見通しの悪い路地からの飛び出しが起きる可能性を訴え、いっそうの安全運転を心がけてもらうのが狙いのようだ。

基本的にはサーバも日産が用意し、日産カーウイングス向けへのサービスを考えているようだ。GPSケータイからの位置情報発信は、専用アプリを使い、利用に同意をした人の情報を用いることが検討されているようだ。

もう1つは、FOMAの音声通話の品質を向上させる高音質音声符号化技術。従来音声通話で使われていた周波数は3.4kHz以下と、AMラジオ放送よりも劣る音質だったが、これをFM放送以上の音質に改善させる技術だ。ビットレートは48~64kbpsで、実際に音声を比較してみると、明らかにクリアで臨場感がある音質に変わる。IP電話での利用が想定されているが、FOMAでの展開も考えているそうだ。

「リアル感が伝わる」という高音質化技術

ブースでは無線LANでつないだ端末同士での通話デモが行われていた

こちらは介護事業者向けのテレビ電話ソリューション「かんたんテレビ電話機」。製造はタムラ製作所だ

FOMAカードを端末に挿入しておけば、スイッチを押すだけで自動的に指定の番号にテレビ電話をかけることができる。すでに3月から販売を開始しているが、今年度末にはドコモショップでの販売も行う予定だそうだ